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Article: 第22話:『これも宝物!宮崎監督の新企画ネタを聞きました』

第22話:『これも宝物!宮崎監督の新企画ネタを聞きました』

ある日、宮崎監督がスタジオのビル2階の窓から外を見ていました。

ふと、気になったわたしともうひとり(誰だったのか思い出せないのです、残念)が、怖ごわ声をかけました。

 

そうしましたら、宮崎監督はひとつお話しを聞かせてくれました。

 

2階の窓の下は、有料駐車場があります。

その駐車場ととある建物の間にブロック塀があります。

ちなみに、窓下のとある建物も有料駐車場は、いまもありますよ。

 

戻って、そのとある建物とブロック塀のあいだに少しだけ隙間があります。

そこを指さして、「バトンを受け取った主人公が塀のうえを走っているんだ!そして、ブロック塀と、建物のあいだのスペースがあるだろう」と。

 

「そのスペースに主人公は飛び降りるんだ」。

「地下深くに落ちていく主人公、目の前に広がる空間があって、そこは地下都市になってる。その、地下都市のなか、バトンを受け取った主人公は走るんだよ!」。

 

ここで、お話は終わりました。

 

わたしは、ヤバい、その後が聞きたいと思うわけです。

でも、その後はどうなるんですか?とは流石に、聞けません。

わたしのようなペーペーの存在から見たら、宮崎監督は天上人ですから。

 

これは当時、宮崎監督が考えていた次のアニメの構想だったようです。

わたしは単純にそのアニメ映画、観てみたかったです。

でも、わたしがオリジナルアニメを好きなことはこの宮崎監督のお話にも起因します。だって、次が知りたいじゃないですか?観たいじゃないですか?

ワクワクするんです。

ドキドキします。

ちなみに、この話を聞いたあの頃、「天使のたまご」の監督の押井守さんが良くジブリに来ていました。

 

ググるとこの辺りの企画のことが色々書いています。

 

わたしも後で知るのですが、「アンカー」と言うタイトルの企画だったと思います。

 

さらに、とあるサイトで押井守さんが、当時の企画のことを軽く話しているので、読んだのですが、全く知らない内容でした(笑)。そうか、なるほどなるほど、お姫さまが何者かに追いかけられているのか?……、って、その構造はラピュタでは?

 

わたしが、ちょっとだけ垣間見たひとつのお宝ニュースです。

 

古里23歳の頃です。

 

天空の城ラピュタもオリジナルアニメです。

わたしは、日本アニメーション時代は、合作「不思議の国のアリス」、劇場版「超人ロック」は原作物でした。テレビシリーズ「ミームいろいろ夢の旅」はオリジナルアニメでしたが、過去の偉人だったり発明物の紹介だったりとオリジナルでありつつも現実にあること、あるものを紹介するアニメでした。

 

ですので、『ジブリ時代』は、オリジナルアニメの面白さのひとつを知った時代だったと思うのです。

 

制作進行としては当時3年目でしたが、まだまだひよっ子です。

仕事の本当の意味、将来のことなどぼんやりとしか考えていなかった時代です。

 

兎にも角にも、優秀なクリエイターがたくさんいた現場でしたので、そんな方々とワイワイ、きゃあきゃあと、仕事が出来たことはいまになっては「宝物」です。

 

トップクラスのクリエイターの仕事を見ることが出来た、わたしに取ってそれがひとつの基準となっています。

 

諸先輩方は、「良いものを見ろ、良いものに触れろ、さらに本物を見ろ、本物に触れろ!」と言います。

 

わたしは、日本アニメーション時代、仙人のようなアニメーターの「森(康二)」さんと一緒に仕事をしました。これも、日本アニメーション時代篇で書きますが、本当に本当に素敵な大大大先輩でした。日本のテレビアニメ、アニメ映画の初期のアニメーターであり、「太陽の王子 ホルスの大冒険」のキャラクターデザイナーであり、ヒルダの原画を描いている素晴らしき方です。

 

作画机に向かって、小柄な森さんが椅子の上にあぐらをかくように座っているのですが、その佇まいが仙人のように見えるのです。

 

ここで、白状します。

実は、63歳のいままでで、一度だけサイン色紙を描いてもらったのは、森さんだけです。

日本アニメーションを辞めるときに、猫のイラストを描いて欲しいと言うワガママを言いました。

そうしたら、「長靴をはいた猫」のペロを描いてくださったのです。

 

さらに、わたしは日本アニメーションを辞めて何年も経っていた時期、森さんが「猫2匹」が並んでいるイラストをくださいました。

なんと、結婚祝に描いてくださったイラストなのです。

わたしと家内を猫にして描いているのです。

本当に本当に、嬉しかったです。

わたしが猫のイラストを欲しがっているのを忘れていなかったのです。

ありがとうございます!!!!

 

いまも我が家に飾っています。

 

わたしは運良く仙人のような、そして神のようなスーパークリエイター方と出会い、直に見ることが出来たので、幸せの限りです。

心に残る宝物です。

 

 

 🔻ふるさとP写真録:今週の一枚 

 

追伸:

YOUTUBE「ふるさとPアニメ道」もスタートしましたので、ぜひぜひチャンネル登録の上、ご覧くださいませ。

🔻リンクはこちら

HTTPS://WWW.YOUTUBE.COM/CHANNEL/UC_JRVVLJSFUHGMXPCVYUQ5A

   

古里尚丈(ふるさとなおたけ)

1961年5月3日生まれ。青森県出身。

1982年日本アニメーションに制作進行として入社。1985年スタジオ・ジブリ『天空の城ラピュタ』制作進行。1987年サンライズ入社『ミスター味っ子』『勇者シリーズ』等、制作進行・設定制作・制作デスク・APを務め『新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA』からプロデューサー就任。『星方武俠アウトロースター』『GEAR戦士電童』『出撃!マシンロボレスキュー』『舞-HiME』『舞-乙HiME』他、オリジナルアニメーションを14作企画制作。

2011年2月企画会社、株式会社おっどあいくりえいてぃぶを設立。『ファイ・ブレイン~神のパズル』や『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』で企画・プロデューサー。『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』企画協力、『グレンダイザーU』アソシエイトプロデューサーとして参加。現在、ゲーム等参加、新企画を準備中。

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