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記事: 第94回:『ファイ・ブレイン、声優さんはどうやって決まったの?』

第94回:『ファイ・ブレイン、声優さんはどうやって決まったの?』

「ファイ・ブレイン~神のパズル」の声優さんのお話。

佐々木(洋平)さんが描いたキャラクターを最初から見ていたからか?

シリーズ構成、プロット、そして、シナリオが出来ていく流れを見ていたからか?

自分のなかには何となく、カイトの声が聞こえていました。

ギャモン、ソウジも同様です。


でも、カイト役の声優さんが誰なのか?と考えると名前は出てきません。

ギャモンは福山潤さん、ソウジは石田彰さんが合っているなあと考えていました。


そこで、ギャモンとソウジについては、音響監督の鶴岡(陽太)さんに、要望を出していました。


あ、思い出しました。

キュービックは、男性声優さんにお願いしたいと要望しました。

そこで、鶴岡さんが、宮田(幸季)さんがあっていると言われました。

わたしが、宮田さんを知らなかったのですが、佐藤(順一)監督も良いですね、と答えていました。


ちなみに、他のキャラクターについては要望は出していませんでした。


佐藤監督からアナ役に雪野(五月)さん、バロン役に藤原(啓治)さんの名前を出していた気がします。


そして、ノノハ役の清水(香里)さんが、どうやって決まったのか?を忘れているのです。

オーディション?、音響監督からの提案?、監督やプロデューサーからの提案?だったのか?

でも、第1話のアフレコでお会いし、声を聞いたとき、ノノハだ!と一瞬で思いました。


と言うことで、カイトはオーディションが開催となりました。

録音スタジオに数名の声優さんが来ていました。

いつもは、立ち会いはせずオーディション用の音声データが届くだけなのですが、今作は立ち会いとなりました。


実は、わたし声優オーディションの立ち会いは初めてなのです。


浅沼(晋太郎)さんは、スピーカーから流れてくる声を聞いて「これだ!」とすぐに思いました。

わたしの頭のなかでは、カイトの声のイメージはありました。

でも、どの声優さんなのか?までは分かりませんでした。

オーディションに、櫻井(孝宏)さんもいました。

櫻井さんの声を聞いたとき、これは、ルークだってすぐに思いました。

実は、櫻井さんが帰ったあとに、わたしが「櫻井さんはルークがあっていますね」と話したのを記憶しています。


さらに、フリーセル役の神谷(浩史)さんもいたのですが、その記憶がないのです。

すごいオーディションだったんだとかなり後になってから知るのです。

有名な声優さんがたくさん来ていたんだと思いますが、オーディションの立ち会いが初めてだったわたしも緊張していたのか?色々忘れています。


2011年秋の放送の数ヶ月前、第1話のアフレコが始まり、スタジオにスタッフ、声優さんが集まりました。

オーディションの収録スタジオとは違う場所にあるスタジオでした。


音響監督が変わっても、収録スタジオが違っても、監督が変わっても、アフレコが始まる前に顔合わせと言うか、挨拶からスタッフの紹介とともに作品の説明、声優さんの自己紹介などやります。

音響監督の鶴岡さんが中心になり、我々スタッフ側の主要メンバーを紹介していきます。

そして、佐藤監督から作品内容の説明をします。


NEPのプロデューサー、サンライズの制作現場の梅崎プロデューサー、わたしも挨拶をします。


そして、第1話のテイク1(テスト)のアフレコの始まりです。

各キャラクターを演じるにあたり、方向性があっているのか?など、声優さんと色々ディスカッションをします。

声優さんから色々質問がきます。

皆さん、探りさぐりマイク前で演じるのです。

でも、その声を聞くことでわたしたちも、様々な判断が出来ます。


わたしは、カイトはパズル前とパズルに入ってからで感情の発露が違うと思っています。

普段の生活はあんまり興味がない、本気で生きていない感じがします。

でも、パズルになると本気スイッチが入る感じだと考えていました。でも、「熱血」ではないし冷めているのがカイトだと思っていました。

ちょっと感情表現が下手くそなキャラクターがカイトだと思うのです。


浅沼さんの演じるカイトは、パズルと向き合うと生き生きとなるニュアンス、バランスがとても良いなと思えるのです。熱血なんだけど、見た目はクール。


カイトは、他人との距離が離れている、離している。

自分には入って来ないで欲しいし、自分から相手に入っていかないと言うキャラクターだと思うのです。

そんな空気感をまとった演技、声を浅沼さんに感じたのです。

また、純粋さが漂い、さらにヒーロー感も持っている声質が浅沼さんだなって思うのです。



テイク1(テスト)アフレコのあと、監督の意見、プロデューサーの意見を聞いた音響監督の鶴岡さんが諸々をまとめて各声優さんたちに細かく演技プランを伝えていくのです。


わたしがプロデューサーとして参加した「新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA」のときもそうでしたが、基本は音響監督がみんなの意見をまとめて伝えるのです。

きちんと、声優に伝わる(伝える)言葉に変換して話すのが特色だなと思っています。


音響監督は、手元に届いているシナリオまでしか内容を知らないはずなのです。

ですので、キャラクターの深堀り、物語のゴールを知らないのです。

でも、ブレと言うかズレは少ないのです。


わたしが勝手に思っているのは、音響監督さんはとにかく「勘」が良い、のです。

いままで一緒に仕事をした音響監督さん全員同じことを感じます。


当時「舞-HiME」のゲームアフレコ、「舞-HiME」シリーズのCDドラマで仕事をしたときに感じたこと。昨年秋「舞-HiME」のCDドラマの音響監督の関さんこと宮村(優子)さんの仕事を見たときも同様で「勘」が良いな!と思った次第です。


でも、声優さんたちもとても「勘」が良いと感じるときがあります。

この「勘」と言うのは、その方々がそれまでやってきた経験、仕事などで得た様々な知識(情報)のなかから生まれる答えなのかも知れないなと感じるのです。


いま、ググってみました。

「勘」とは、「直感、第六感」とありますが、その他に、「(ふかく)かんがえる」とあります。

わたしは、「直感」しか知らなかったのですが、例えば「土地勘」は、「特定の土地についての地理や事情などに関する知識」とあります。

ここに、「知識」とあります。

やはり、経験から来る知識、そして、かんがえることは大切なんだなって、思った次第です。






古里尚丈(ふるさとなおたけ)

196153日生まれ。青森県出身。

1982年日本アニメーションに制作進行として入社。1985年スタジオ・ジブリ『天空の城ラピュタ』制作進行。1987年サンライズ入社『ミスター味っ子』『勇者シリーズ』等、制作進行・設定制作・制作デスク・APを務め『新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA』からプロデューサー就任。『星方武俠アウトロースター』『GEAR戦士電童』『出撃!マシンロボレスキュー』『舞-HiME』『舞-HiME』他、オリジナルアニメーションを14作企画制作。

20112月企画会社、株式会社おっどあいくりえいてぃぶを設立。『ファイ・ブレイン~神のパズル』や『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』で企画・プロデューサー。『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』企画協力、『グレンダイザーU』アソシエイトプロデューサーとして参加。現在、漫画原作、新企画を準備中。

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