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記事: 第95回:『ファイ・ブレイン、声優さんとアフレコの前のレアなアフレコって?』

第95回:『ファイ・ブレイン、声優さんとアフレコの前のレアなアフレコって?』

前回は、主人公カイト役はオーディション会場(アフレコスタジオ)で声優さんたちの声を聞いたことを書きました。

 

そこに、櫻井(孝宏)さんもおりました。声を聞くと同時に、わたしのなかでは、ルークだと思ったんです。分かりやすいヒーロー的声と言うより、アンニュイさと言うか、抑えたヒーロー感を感じたのです。

 

わたしは、カイトが陽の主人公で、ルークは陰の主人公だと考えていたのです。と、言ってもカイトも過去設定は重いし、決して太陽のようなヒーローではないのですが、でも、ルークに比べると、陽だと思っていたのです。

そんなことを考えていたわたしとしては、櫻井さんの声質がパチっとルークにはまったのです。

だから、ルークの登場話数が楽しみでした。

 

今回この原稿を書くにあたり櫻井さんの演ってきた作品を見ていましたら2001年版の「サイボーグ009」の009こと島村ジョーを演じていることを知りました。

ジョーは心のなかに熱く秘めつつもナイーブなヒーローだと思うのです。

そんな役を演っているのであれば、わたしが反応するのが当然だと思った次第です。

今頃ですが、ルークがハマる理由が見えたのです。

 

そして、ルークを守っているビショップ役は、宮野(真守)さんです。

宮野さんは、オーディションではなく、音響監督の鶴岡さんが決めてくださったのではないかな?と思います。アニメ制作側からのアプローチがあったのかまでは記憶がないです。

 

この頃の宮野さんの演ってきた作品とキャラクターは、「機動戦士ガンダム00」の刹那役でした。あと、「STAR DRIVER 輝きのタクト」の主役タクト役でした。

どちらもロボット物の主役だったので、ちょっと少年ぽさがあるのかな?の認識でした。

でも、マイク前でビショップとして声を出したら、落ち着いた大人の声でした。

うんうん、ルーク様のために行動するキャラクターだと思いました。

 

青年Xの子安(武人)さんに会うのは、超久しぶりでした。

なんと、「伝説の勇者ダ・ガーン」のセブンチェンジャーまで遡ります。

わたしの企画・制作のアニメーションのレギュラーは初めてだったのです、ちょっと驚いています。

 

ヘルベルト役の森川(智之)さんは、スタッフに愛されているキャラクターだったと思います。

特に、シナリオライターに愛されいると思うのです。

1シリーズでヘルベルトの声を聞いてからの登場回ではライターさんたちのシナリオでは、ヘルベルトをどう動かすか?と筆が乗っていたように見えました。

と言うようにヘルベルトに深みと厚み?を足してくださったのは、森川さんの声と演技のたまものなのです。

あと、わたしにとって森川さんは、「勇者警察ジェイデッカー」デュークと言うロボット役が最初になります。このデュークは、宮村優子さんのデビューのレジーナとともにやってくるロボット刑事なのです。あと、「黄金勇者ゴルドラン」の敵側キャラのワルターも演っています。これも、ちょっとギャグっぽいキャラだったと思います。

 

2シリーズのカイトのライバルキャラクターになる5人組。

前の原稿でも書いたように、カイト役のオーディションに  神谷(浩史)さんも参加していました。

 

ライバルキャラクター櫻井さんに続いて、次なるライバルキャラクターのフリーセルとして、本編に参加した神谷さん。

何話かのアフレコ終了後、帰るタイミングに神谷さんと会話した記憶があります。

わたしが見てもフリーセルは、とても難しい役だと思うのです。

物語的に記憶がどこまでが本当で、どこまでが偽物なのか?が分かりにくいキャラクターです。

演じている神谷さんが、混乱するのではないだろうか?と思うのです。

わたしに「演技の方向は、あれで大丈夫ですか?」と言われて「はい、大丈夫です」と答えたのです。

 

ピノクル役の杉田(智和)さんは初めまして、なのですが、サンライズ「銀魂」でずっと聞いていた声なので不思議と会ったことがあるような気がしてなりませんでした。

本当に良い声です。

 

ダウト役の小野(大輔)さんは、「アイドルマスターXENOGLOSSIA」以来で、ちらっと顔を見せて「覚えていますか?」と言った挨拶をした記憶があります。

 

ミゼルカ役の日笠(陽子)さんも初めまして、でした。

なんと、2007年にデビューしているんですね。

当時、知らない声優さんでしたが、新人さんだったんですね。

でも、落ち着きがあって少しベテランテイストのある声優さんに見えました。

 

メランコリィ役の斎藤(桃子)さんとは、「アイドルマスターXENOGLOSSIA」で初めてお会いしています。普段から、ハイトーンの声で幼い少女の役がハマっていました。

「宇宙をかける少女」でも、一番下の末娘の天才少女を演ってもらいました。

ですので、小柄な少女のメランコリーにはバッチリだと思いました。

斎藤さんにもアフレコ後に、「メランコリーの演技大丈夫でした?」と質問を何度も受けました。メランコリーもやはり難しいキャラクターですよね。

 

ホイスト役の小西(克幸)さんとは「舞-HiME」以来です。何本かアフレコを終えた頃、小西さんから「ホイストって演じるのが難しいです」と言われたことがあります。

本当に、フリーセルにもメランコリーにもホイストにも都度問われたのです。

 

2シリーズのライバルキャラクターたちは、どのキャラも難しいと思います。

何せ、記憶がどれが本物なの?ですから。と、言うことでいま思い出しても、声優さんたちに「これで大丈夫?」的なことを考えていたに違いないのです。

多分、ピノクルもダウトもミゼルカも同じことを考えていたのではないでしょうか?

 

実は、「わたしもきちんとうまく説明出来ないんです、ごめんなさい」が、本音でした。

シナリオ打ち合わせのときも、それぞれのキャラクターが、いまどうなっているのか?を常に確認していたんです。

どの記憶が真実で、どの記憶が作られた偽なのか?を中心に据えて作るのは、今更ですが超難しいです。

 

3シリーズのレイツェル役の茅原(実里)さんは、「舞-HiME0.sifl」で3話数アフレコを演ってもらっています。他は、CDドラマを3枚アフレコしました。

今回、初めてテレビのアフレコを演ってもらえると思ったのですが、わたしの関わり方が少し変わっており、アフレコは第1話のみでダビングにも参加しませんでした。

ですの で、茅原さんの演技やそこに起きたであろう何かしらの事件?を知らないのです。

残念、何かしら書きたいのですが、無理なのです。

「舞-HiME0.sifl」では、ふんわりとした声と演技のキャラクターを演ってもらったので、レイツェルはどう育つのだろう?と思っていました。

 

オリジナルアニメは、スタッフ、特にライター、コンテマンがそのキャラクターの声を聞くことで、声優さんが声で肉付けしたことで変貌することがあります。

より優しくなったり、よりファンキーになったり、明るくなったり、暗くなったりと、想定以上にキャラクターを個性付けて行くことがあります。

 

特にわたしが設定、制作デスク時代の「勇者シリーズ」は、放送は1年ものですので、12話のアフレコを聞いてから、後半から最終回のシナリオなどの開発になるので、それぞれのキャラクターの声と演技を踏まえて反映させることが出来ます。

つまり、キャラクターが良い意味で変わって(育って)いくことがあります。

 

いまのように、1クール(12話or13話)放送の場合は、第1話の声を聞く頃には、シナリオ開発は終わっており、絵コンテも終わっていることが多いです。

演出と作画は声を聞いて最終回近くに反映させることが可能ですが、それもセリフのタイミングくらいかなと思います。

 

ですから、昔良くあった1年以上の放送するアニメは、声優さんとライター、監督、絵コンテ・演出家さんの目に見えないやり取りがあったなって思うのです。

後半の方が、絵に声優さんのセリフのタイミングがよりハマっていくのは、こんな理由もあるのです。

 

ちょっとレアなことを思い出したので書きます。

絵コンテを描いている「コンテマン」or「演出家」さんで思い出すことがあります。

まず、シナリオから絵コンテを描きます。

そして、それぞれのカットの尺を書き込むためには、ストップウォッチを用意してセリフを読みます、そして読み終えるとストップウォッチのタイムを見ます。

そして、ストップウォッチの秒数をタイムシートに尺を書き込んでいくのです。

 

当然、「コンテマン」or「演出家」さんは声を大きく出す人、口のなかでモゴモゴして読む人、それぞれです。

 

大きな声を出す「コンテマン」or「演出家」さんの場合、ちょっと離れていても声が聞こえてくるので、「お、◯◯さんがタイムを取り出したぞ」と思うんです。

これは、絵コンテ作業の終わりが見えてきたとも考えることが出来ます。

数名のキャラクターが出ているシーンのセリフを読んでいる場合は、男性になったり女性になったり、子供になったりと、役柄に合わせて演技してセリフを読むのです。

さらに、ゆっくり読むこともあるし、ちょっとテンポが早い場合もあります。

熱が入って、演技が濃くなることもあります。

 

ですので、聞いていると面白いときもあるのです。

 

と、言うように、我々制作マンは声優さんが声を入れる前に、すでに何度か声を出した演技を聞くことがあります。

 

さらに、編集時に台本を片手に、監督や編集マンがセリフを読んでいることも多いです。

 

わたしは、制作進行、設定制作、制作デスク時代も編集の立ち会いを良くやっていたので、監督や編集さんの簡易アフレコを体験したなって思い出します。

 

アフレコ前に、制作スタジオ内で何回かレアなアフレコの声?を聞くことも出来るのです。

制作現場でしか味わえない、裏話でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

古里尚丈(ふるさとなおたけ)

196153日生まれ。青森県出身。

1982年日本アニメーションに制作進行として入社。1985年スタジオ・ジブリ『天空の城ラピュタ』制作進行。1987年サンライズ入社『ミスター味っ子』『勇者シリーズ』等、制作進行・設定制作・制作デスク・APを務め『新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA』からプロデューサー就任。『星方武俠アウトロースター』『GEAR戦士電童』『出撃!マシンロボレスキュー』『舞-HiME』『舞-HiME』他、オリジナルアニメーションを14作企画制作。

20112月企画会社、株式会社おっどあいくりえいてぃぶを設立。『ファイ・ブレイン~神のパズル』や『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』で企画・プロデューサー。『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』企画協力、『グレンダイザーU』アソシエイトプロデューサーとして参加。現在、漫画原作、新企画を準備中。

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