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記事: 第102回:『ミスター味っ子、2年間99話作りました』

第102回:『ミスター味っ子、2年間99話作りました』

2000年あたりから、1クールと2クール物のアニメーションが増えました。

いまも、1クールアニメは多いです。あと、1クールアニメの放送が終わり、数ヶ月お休みしてパート2を放送するアニメもありますね。

 

1クールとは、13話数のことです。

つまり、3ヶ月放送があると言うことです。

2クールは26話数。

半年間の放送となります。

 

「ミスター味っ子」は、なんと99話放送しました。

8クールになります。

 

実際は、総集編が1話数ありましたので、合計で100話数作っています。

記憶だと後半に総集編と本編話数と合わせて1時間番組のスペシャル放送がありました。

 

わたしが、総集編用に「白浪五人男」の資料さがしをしたので、設定制作時代のタイミングだと思います。実際、何話だったのだろう?覚えておりません。

 

最近は1クール放送のアニメがデフォルトに思えるくらい多いです。

実は、制作としては同じタイトルで長く放送してもらった方がたくさんメリットがあるのです。

 

まず、作ったメインキャラクターデザイン、美術設定をずっと長く使えます。

 

1クールごとに全て設定を作り直しているのはとても効率が悪く、予算も使うし、スケジュールも使うこととなります。

 

あと、ライターも絵コンテマンもアニメーターが何度も携われるので慣れていきます。

キャラクターを理解し設定もわかることで、脚本の上がりも原画の上がりも早くなります。

あと、どんなアニメーションなのか知ることで、絵コンテの上がりも早くなる可能性があります。

 

さらに、メリットは、制作進行が年間に11本から12本担当出来ることでスキルアップします。

失敗をしても、次月に挑戦して失敗をカバー出来るのです。

つまり、トライアンドエラーをすぐに試すことも出来ます。

 

最近は、年間数本しか担当しないこともあるようです。本当はたくさん進行経験をしてもらって仕事を覚えて欲しいんだよと、ぼやくプロデューサーを何人も知っています。

 

でも、昔は本当に忙しく、朝まで仕事があるし、会社に良く泊まりました。

マジに休みもなかったりしたので、何が良いのか?ではあります。

そして、アフレコも同様で声優さんが自分の、演じるキャラクターのことを知っているからミスが減り早く終わります。

 

さらに一番重要なのは、1年間で52話数制作出来ると、制作予算が若干安くても家賃や光熱費、人件費などを支払ってきちんと利益が残ります。

 

つまりどうやっても固定費は同じだから、制作話数が増えると会社としては助かるんです。

こんなことを考えるといまの制作会社はコストパフォーマンスは悪く、利益が出にくい構造になっています。

 

だから!と言ってしまうのは乱暴ですが、テレビシリーズの制作費用は年々上がっています。

それでも、まだ制作会社に利益が出なかったりします。

 

経営を考えると、きちんと利益が出ることで、未来への投資がやれます。

新人を育てること、新たな機材購入も出来ます。

また、ディズニーのようなとはいきませんが、スタジオのなか広い床面積をクリエーターに用意出来ます。

 

お給料も上がると、将来に夢を持てる職場になると思うのです。

 

さて、改めて「ミスター味っ子」では、わたしは、1年間でたくさんの話数を、担当しました。

途中、後輩に教えるためにふたりで担当した話数もあるので、1年間で12本ではないですが、それでも「第1610151924293444話」と、9話数作っています。

 

これだけの話数を受け持つと、色々なスタッフと組ませてもらえます。

作画監督、演出家、原画マンたち、色指定、仕上げ会社も同じところでなく数カ所の社長さんたちに会えます。

そうなると、制作進行がのちに制作デスクになったときに、頼み込める人、会社が多くなります。いわゆる電話帳にどれだけ電話番号を増やして書き込むことが出来るのか?が重要だし、後々の宝物になります。

 

制作進行は、各部署、各スタッフの「ハブ」になります。

縦も横もつなげます。

担当話数のスケジュール管理だけでなく、クオリティ管理、予算管理もすることになります。

結局、未来にプロデューサーになるなら、めちゃくちゃ役にたつんです。

 

 

わたしは、第44話で制作進行ラスト回となります。とても大好きな話数です。

 

44話は作画監督が土器手(司)さん、原画にスタジオジブリで一緒に仕事をした金田(伊功)さんが半パートくらい描いて下さっています。

ジブリ時代、原画頭と呼ばれていた金田さんはみんなの兄貴でした。

わたしも大好きで懐いておりましたが、金田さんの胸中は鬱陶しいぞ!と思っていたのかも知れません。

 

金田さんは、味皇さまが海を走り、波を割って縦横無尽に駆け回っていたシーンを描いて下さっています。

 

めちゃくちゃ面白い話数になりました。

 

元気なじじいがふんどし一丁で走り回る姿は色々インパクトあります!!

本当にやりがいを感じた話数でした。

 

そんな話数で制作進行を終えることが出来て、とても幸せでした。

わたしは、進行から設定制作に転向することをいつプロデューサーから言われたのか?覚えていないのです。

でも、第44話のときはすでに決まっていたので寂しさと設定制作と言う新しい仕事への楽しみが交錯していました。

でも、多分、楽しさ、嬉しさが多かったと思います。

 

そして、わたしだけでなく、色々なスタッフが変化していくことになるのです。

50話(第3クール目)あたりから、キャラクターデザイナーの加瀬(政広)さんから毛利(和昭)さんに変わります。

 

それまで設定制作をやっていた佐藤(育郎)さんが演出になりました。

ちなみに初代設定制作は、佐藤(純子)さん、2代目が佐藤さん。

と言うことで、わたしは設定制作3代目なのです。

 

また、文芸は置かなくなりました。坂田(義和)さんはシナリオライター専業として「ミスター味っ子」も書きつつ、実写のドラマのシナリオも書き始めていました。

 

ですから、わたしは、設定制作とやりながら文芸の業務も少しやりました。

毎回、第50話から2クール予告編を書くことになりました。

このときに書いた予告が、後の予告作りに役にたちました。

わたしは、「出撃!マシンロボレスキュー」のときに、予告のチェックからの修正をさせてもらったときにめちゃくちゃ助かりました。

やはり「経験」の重要性がわかります。

とにかく、やってみることが大切だなって思うのです。

 

と、次回は設定制作になってからの後半戦を書こうと思います。




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古里尚丈(ふるさとなおたけ)

196153日生まれ。青森県出身。

1982年日本アニメーションに制作進行として入社。1985年スタジオ・ジブリ『天空の城ラピュタ』制作進行。1987年サンライズ入社『ミスター味っ子』『勇者シリーズ』等、制作進行・設定制作・制作デスク・APを務め『新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA』からプロデューサー就任。『星方武俠アウトロースター』『GEAR戦士電童』『出撃!マシンロボレスキュー』『舞-HiME』『舞-HiME』他、オリジナルアニメーションを14作企画制作。

20112月企画会社、株式会社おっどあいくりえいてぃぶを設立。『ファイ・ブレイン~神のパズル』や『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』で企画・プロデューサー。『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』企画協力、『グレンダイザーU』アソシエイトプロデューサーとして参加。現在、漫画原作『貴姫さまの憂鬱~あやかし探偵事件簿』をはじめ、新企画を準備中。

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