テレビアニメ「少女☆歌劇 レヴュースタァライト(以降、レヴュースタァライト)」のアフレコが近づいてきました。 2018年7月のテレビ放送に合わせて、絵コンテ、作画等々の制作から音響関係の作業が行われます。 制作現場はバタバタと各作業が突貫で進行します。 まずは、テレビ放送のために声優さんたちを集めてアフレコの第1話が始まるのですが、今回の声優さんたちのなかにはアフレコが初めての方もいます。 数回経験の方もいます。 当然、アフレコに慣れている方もいるのですが、主人公たち9名の声優さんたちのスキルがバラバラなのです。 前の原稿でも書いたように、「レヴュースタァライト」は舞台が先に公開したタイトルですから、声優だけでなく舞台に上がって歌って踊って演技経験のメンバーが集まっています。 経験値がバラバラなので、第1話のアフレコ前にアフレコスタジオに集まって音響監督から諸々のレクチャーを受け、勉強をしていました。 アフレコには、キャラを理解するとか演技の前に知っておくべきちょっとしたルールがあります。 例えば、アフレコ台本のめくり方もやり方を知っているとノイズを出さずにめくることができます。 セリフを話しているときに出るリップノイズがあります。そのリップノイズをなるべく出さないやり方。 靴の選定。マイク前に向かって数歩歩くのですが、そのときの足音をマイクが拾うこともあります。だからこそ、足音の出ない靴を履くことが大切だし、音が出ないような歩き方も必要です。 服装も衣擦れの音が出ない服を選ぶことが必須です。 また、アクセサリーなども音が出るとマイクがノイズとして拾ってしまいます。 あと、お昼のアフレコ時、少しでもお腹に食べ物を入れておく必要もあります。 お腹が減って「グー」と音が鳴るとこれもマイクが拾ってしまいますから。 そして、マイクの芯に対して口の位置。その角度なども経験が必要です。 自分の出した声を効率良くマイクに拾ってもらうことが大切です。 ある意味、マイクの芯に声をぶつけることが必要なのです。 さらに、モニターと台本の見方です。 台本を見つつ、モニターに自分演じるキャラクターが話し始めるタイミングを見て声を出すのですが、そのためにはセリフを記憶する場合もあります。 さらに台本を見ながら、モニターを見て、さらに、ノイズを出さずに、声をマイクの芯にぶつける、など諸々をやっていくことでOKが出ます。 ちなみに、台本を完全に記憶してくると、アフレコ時にセリフ修正をしたときに対応できなくなることがあります。だから、完全に覚えない方が良いこともあるのです。 一番重要なことがあります。 声優さんたちが演じるキャラクターが監督、音響監督の想定しているものになっているのか? 演技の幅があり、その幅にきちんと入っているとOKの確率は上がります。 でも、声優さんの演技がその想定を超えてくる場合があります。 それをやり過ぎと考えるのか? キャラクターとして有りと考えるのか?です。 色々化学反応があって、それぞれのキャラクターが生まれていきます。 キャラクターの動きもアニメーターさんの想像力と表現する力が相まって、絵コンテを超えた動きがキャラクターをより魅力的にすることもあります。 そこに、声優さんの演技が加わることが、どんどん進化していくわけです。 わたしも、アフレコを見たのは「ミスター味っ子」で数回。「勇者シリーズ」で10回程度でした。 きちんと、アフレコを経験するのは、わたし自身プロデューサーになってからの、OVA「新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA」でした。 わたし自身がアフレコ現場において新人だったので、色々勉強しました。 それぞれ考えたし、音響監督に質問もしました。 何らかの答えを得て、それを自分のなかで納得するにもそれなりの時間が必要でした。 誰でも新人時代はあります。 その新人時代には、なるべく正しい答えを得る方が良いわけです。 スタート地点で間違って覚えると、後々軌道修正するのが大変なこともあの頃学びました。 だから、声優さんが音響監督に色々レクチャーしてもらっていることも、わたしが新人プロデューサーだった頃は一生懸命に盗み見して覚えるようにがんばっておりました。 「レヴュースタァライト」の第1話のアフレコは、その日だけで終わらず、その後何回か抜きで収録していきました。 言わずもがな、初めてマイク前でアフレコを経験しているわけなので、OKになるまで何度も何度もやり直していたのです。 めげたこともあったのではないだろうか?と思います。 でも、一生懸命にやっているのはとてもわかります。 舞台を中心にがんばっている役者(声優)が多かったので、面白いことがありました。 休憩中に、どうやっても身体を動かしてしまう、と話しているのを聞くと、ちょっとだけ「クスッ」としてしまいます。 そうなのです。身体を動かさないでマイク前で演技をすることも、技術が必要なのです。 アフレコでは、走っているとかアクションをした後にセリフを言うシーンがあって、実際には走っていないのです。 だから、「ハァハァ」などの息も演技でやることになります。 舞台をメインでやっていると身体を動かすことで、演技とセリフが出てくると思うのです。 でも、アフレコはマイク前にじっと立って、演技をします。 これも、テクニックやスキルが必要です。 あと、ドリンクを飲むとか、ラーメンを食べるとかも、それらをマイク前で演じるのです。 「グビグビ」「ゴクゴク」「ズルズル」「チュルン」など。 汚く聞こえないように、でも、食べている風に聞こえるように挑戦です。 そして、「ハッ」と驚くとか、声にならない声を出すことが必要なのです。 でもリアルだと、その声「ハッ」は出さなかったします。 アニメには、その誇張した表現だったり、本来声にならない声をあえて出す必要があります。 これらは、マイク前で何度か表現してみる必要があります。 あと、練習も大切だと思います。 そして、与えられたキャラクターをどこまで考えるのか?です。 監督、シリーズ構成、シナリオ、絵コンテに描いたキャラクターをどれくらい自分なりに深めて行くのか?です。 声優さんたちがキャラクターの性格をどのように肉付けしていくのか? その性格を踏まえて、声質や気持ち抑えめの演技なのか?逆にオーバー目の演技が良いのか?淡々とするのが良いのか? など、演技力の前に、キャラクターを理解する力も重要だなと思います。 だからこそ、人間観察もやるべきだし。 映画や小説を読むことも大切だと思います。 様々な感情表現をできるように、人間を知ることが重要だと思うのです。 あと、声優さんは、アフレコだけで良いと思っている人がいるなら、そうではないです。やはり、舞台などで身体を使って演技をすることはとても良いことだと思うのです。 その経験も大きな経験になるのではないかな?と感じます。 第12話最終回、そしてBD用の特典映像の第13話に進むことでアフレコも早く終わるようになりました。 わたしは、今作ほど新人声優が多いアフレコ現場は初めてだったので、色々考えることがありましたが、でも、必ず終わるは来るのです。 次は、映画のアフレコで彼女たちと出会うことになるのですが、2020年の総集編。2021年劇場版のタイミングにコロナがやってきました。 1961年5月3日生まれ。青森県出身。1982年日本アニメーションに制作進行として入社。1985年スタジオ・ジブリ『天空の城ラピュタ』制作進行。1987年サンライズ入社『ミスター味っ子』『勇者シリーズ』等、制作進行・設定制作・制作デスク・APを務め『新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA』からプロデューサー就任。『星方武俠アウトロースター』『GEAR戦士電童』『出撃!マシンロボレスキュー』『舞-HiME』『舞-乙HiME』他、オリジナルアニメーションを14作企画制作。2011年2月企画会社、株式会社おっどあいくりえいてぃぶを設立。『ファイ・ブレイン~神のパズル』や『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』で企画・プロデューサー。『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』企画協力。2024年5月から『ふるさとPアニメ道』ブログ&YouTube動画配信中。2026年3月末からコミックノーラにて「貴姫さまの憂鬱~あやかし探偵事件簿」連載中。
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