記事: 第117回:『星方武俠アウトロースター、新人プロデューサーのテレビ初作品なのです』
第117回:『星方武俠アウトロースター、新人プロデューサーのテレビ初作品なのです』
「星方武俠アウトロースター」のことで、語る一番の思い出は、これなのです!
タイトルについて、「武侠」ではなく、「武俠」なのです。
この漢字なのですが、違いが微妙なんです。
ですので、毎回、ムック本のチェック。
雑誌のなかの原稿チェック。
グッズなどタイトルチェック。
とにかく、タイトルチェックで修正しなければならないのです。
パソコンで漢字変換のときに、最初に「武侠」と、出てくるんですよね。
また、字のかたちが良く似てますので、間違うのは仕方ないです。
いままで、チェックで何度「赤入れ」したものか?です。
たくさん修正指示出しました。
では、本編に入ります。
わたしは、プロデューサーになって一番最初のテレビシリーズが「星方武俠アウトロースター」となります。
その前に、1995年からOVA「新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA」の制作に入っていましたが、並行してテレビシリーズを担当することとなりました。
当時、サンライズの指田(英司)プロデューサーに呼び出されて、企画書を渡されるのです。
デジャヴ感満載です。
「新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA」のときと同じ展開となりました。
指田さんは、「古里、次はこれ」と言うわけです。
恐る恐る中のページを見ると、な、なんとスペオペではありませんか?
「スペースオペラ」、略して「スペオペ」のジャンルの作品内容です。
これは、面白そうだ!と思いました。
わたしは、SFは好きです。
SF(サイエンス・フィクション)にも色々ジャンルがあります。
時間(タイムマシーン)もの、ちょっと不思議(藤子不二雄作品に多い)、科学考証に基づくもの、宇宙もの、宇宙活劇もの、未来もの、次元もの、ロボットものなどなど、たくさんあるのです。
「スペオペ」こと「スペースオペラ(英: space opera)」のことを説明します。
主に宇宙空間で繰り広げられる騎士道物語的な宇宙活劇のこと。
なかにはメロドラマ的要素が入っていることも多いようです。
良くある物語は、逞しいヒーローが超光速の宇宙船に乗り光線銃を撃ちまくって、敵、宇宙怪物、異星人、マッドサイエンティストなどを退治し、囚われの美女を救出するというものが基本パターンです。
スペオペもので有名な作品は「スター・ウォーズ」です。
日本だと「クラッシャージョウシリーズ」だと思います。これは、小説であり、アニメ映画やOVAアニメにもなっています。
色々考えてみたのですが、日本のアニメだと宇宙を股にかけて活躍するヒーローの物語は少ないと思うのです。
もしかすると、ですが、アメリカは長い歴史を持たない国です。
だからこそ、宇宙に架空の歴史をつくり、そこで様々な英雄(ヒーロー)が活躍する物語を作りたかったのかも知れません。
いわゆる、ヒーロー神話を作りたいのかな?と考えてみたりします。
日本は、長い歴史を持ち、神話もあります。だから、あえて宇宙に新しい物語や神話を作らなくても良いので、このジャンルは少ないのかな?と考えてしまいます。
ちなみに、日本だと宇宙を舞台にした物語で有名な作品は「宇宙戦艦ヤマト」「機動戦士ガンダム」です。
これらは、宇宙を舞台にした英雄物語なのか?と、問われると違うと、思います。
再度わたしは、SF物は好きです。
さらに、本格的SFより少しライトなSF、あるいは、なんちゃってSF物が大好きです。
都市伝説、幽霊、雪男、ツチノコ、ネッシー、空飛ぶ円盤こと未確認飛行物体。
昨今はUAP(未確認空中現象)と、言うのかな。
生まれ変わり、最近流行りのタイムリープものなど大好きです。
ですから、本格的SFではなく、スペオペ感満載の「星方武俠アウトロースター」は、古里的に「はい、やります!」でした。
手元にいただいた企画書とともに資料を見ました。
とにかくたくさん絵がありました。
幡池裕行さん、箕輪豊さん、モーニングスターのスタッフさんと、他にも描いてくださっている方々がいました。
そして、設定、物語を書いたテキストも何ページもありました。
それこそ、原作者の伊東岳彦先生の熱き思いの詰まった企画書と資料でした。
また、アニメと合わせて漫画連載もあること教えてもらいました。
ざっくりとしたスケジュールを知り、わたしが何をやれば良いのか?を考えることとなりました。
約2年後の1998年にテレビ放送予定となりました。
わたしは、新人プロデューサーですから簡単にテレビアニメを作れません。
正直、試行錯誤の繰り返しなのです。
あと、決定的な問題がありました。
傍らで「サイバー」を作っていますので、スタッフも制作進行も足りません。
さらに、制作スタジオもありませんので、スタジオの用意から制作デスク、制作進行、設定制作を集めることとなりました。
と言うように、わたし自身のやるべきことを全て洗い出しました。
このとき、制作進行、制作デスクとしてやってきたことと、プロデューサーとしてやるべきことの違いを強く感じました。
とにかく、ぶつかっても前に進むしかないので、体当たりで経験するしかありません。
と言うことで、色々なスタッフと出会い、話し合うこととなりました。
一番最初に話すのは、原作者の伊東岳彦先生です。
どんなアニメを作りたいのか?です。
伊東先生の希望で監督、シリーズ構成は決まっていました。
色々お話ししました。
そこで、伊東先生は北海道出身だと知りました。
わたしと同じ年齢だと知りました。
「星方武俠アウトロースター」の主人公のジーン・スターウインドのストーリー上の思いのいくつかは伊東先生の思いだと言うことも知りました。
この作品を通じてオリジナルアニメのなかにあるいくつかのファクターを知るのです。当然、「新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA」からも得ました。
わたしは、新人プロデューサーとしての2〜3年目のあたりにたくさんのことを知るのです。
主人公は監督か原作者の写し鏡だと、言うこと。
「星方武俠アウトロースター」だと、原作者が主人公でした。
監督はジムかも?と思いました。いわゆる相棒的ポジションなのかな?と考えました。
シリーズ構成はギリアムかしら?と思いました。ギリアムは宇宙船アウトロースター号のメインコンピュータです。つまり、何でも知ってるポジションです。
他クルー(メルフィナ、鈴鹿たち)が後から参加のプロデューサー陣、つまりわたしたちになります。
以降の作品も似た考えが出来ることが多かったです。
プロデューサーはどのキャラクターなのか?は都度考えることがありました。
今回は巻き込まれるこのキャラかも?とか。
もしかするとこのヒロイン(笑)ポジションなのかも?とか。
結構、主人公チームのメインキャラクターは、メインスタッフの誰かに当てはめることが出来るのです。そうなると、立場や性格なども反映させたり、させなかったりも出来ます。
オリジナルの物語なのに、そこに存在するキャラクターは微妙に血肉の通った人間だったりするのです。これは、ちょっと面白いなと都度思っていました。
このことを発見出来た「星方武俠アウトロースター」には感謝しております。
いわゆる、わたしにとって何らかのガイドが生まれたのです。これは、本当に助かりました。
さらに、主人公はその作品を生み出した人、原作者だったり監督だったりと、その方の生き方が反映するのは当然だと思うのです。
主人公がどのゴールを目指しているのか?
主人公の趣味嗜好は?
主人公の生き様は?
となると、決定権を持っている監督の思考、原作者の思考が反映するのは当たり前ですよね。
わたしは、「星方武俠アウトロースター」では宇宙活劇の面白さをアニメで表現したいと思いました。
また、主人公ジーンの胃のなかの蛙でありながらも、都会に出たい、ヒーローとして大活躍したい!と願って宇宙を、見上げている若者です。
宇宙と言う大海原に出たいのです。
そんな、半人前の男の物語だとわたしは思いました。
ガッツリ成長物語なのです。
わたしのやりたいアニメでした。
いつでも、わたしの心の奥底ではロボット物をやりたいのですが、それは腕のある宇宙船(グラップラーシップ)で十分です。
宇宙空間で戦艦が殴り合うと言う馬鹿馬鹿しさこそスペオペの醍醐味と思うのです。
わたし自身も、大海原に小さい船に乗ってオールを漕ぎ始めたのですが、ここから、大きな船になっていくのか?
個性的なクルーが揃うのか?
それもこれも、わたしが何を考えてどんな行動をするのか?になります。
わたしの心のなかでは、沈没はさせない。
港から出航した船を目指すべき港にきちんとたどり着いて入港、一緒に乗ったクルーたちを新たな港に降ろすことです。
本当にやれるのか?できるのか?です。
内心、ドキドキのど新人プロデューサー古里の船出となりました。
1961年5月3日生まれ。青森県出身。
1982年日本アニメーションに制作進行として入社。1985年スタジオ・ジブリ『天空の城ラピュタ』制作進行。1987年サンライズ入社『ミスター味っ子』『勇者シリーズ』等、制作進行・設定制作・制作デスク・APを務め『新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA』からプロデューサー就任。『星方武俠アウトロースター』『GEAR戦士電童』『出撃!マシンロボレスキュー』『舞-HiME』『舞-乙HiME』他、オリジナルアニメーションを14作企画制作。
2011年2月企画会社、株式会社おっどあいくりえいてぃぶを設立。『ファイ・ブレイン~神のパズル』や『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』で企画・プロデューサー。『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』企画協力。2024年5月から『ふるさとPアニメ道』ブログ&YouTube動画配信中。2026年3月末からコミックノーラにて「貴姫さまの憂鬱~あやかし探偵事件簿」連載中。



コメントを書く
このサイトはhCaptchaによって保護されており、hCaptchaプライバシーポリシーおよび利用規約が適用されます。