記事: 第119回:『アウトロースター号が縦横無尽に宇宙を飛ぶ音楽は大谷幸さんの作曲です!』
第119回:『アウトロースター号が縦横無尽に宇宙を飛ぶ音楽は大谷幸さんの作曲です!』
「星方武俠アウトロースター(以降、アウトロースター)」の作曲家は「大谷(幸)」さんです。
わたしにとって、大谷さんは、「新世紀GPXサイバーフォーミュラ」のテレビシリーズ、OVA11とZEROの作曲家です。
当時だと、「新機動戦記ガンダムW」の作曲家でもあります。
実写映画だと「ガメラ 大怪獣空中決戦」から3作の作曲家として担当しています。
作曲家が大谷さんに決まったとき、わたしはとても不思議な気持ちでした。
わたしは「新機動戦記ガンダムW」の音楽が好きで、サントラアルバムを買って車のなかで聴いていたのです。
そして、OVAシリーズ「新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA・SIN」は、大谷さんから佐橋(俊彦)さんになっていたのです。
色々な気持ちを抱えて、お会いしました。
名刺交換をして、自己紹介をするのですが、大谷さんはどんな気持ちで聴いていたのだろう?と思ってしまいます。
音楽発注の打ち合わせでは、監督、音響監督の三間(雅文)さん、ビクターの音楽プロデューサーの野崎(圭一)さん、プロデューサーとしてわたしとバンダイビジュアルのプロデューサー杉田(敦)さんが参加していたと思います。
三間さんが作成したメニューを見ながら、音楽のイメージを伝えます。
監督やプロデューサーが、作品の説明をします。
わたしは、「新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA」で音楽の発注について経験していますが、音楽メーカーが違うし、音楽プロデューサーも別な方だし、音響監督も違っています。
と、言うことで、わたしとしては、色々模索して進めるしかないので、とにかく音響監督の三間さんにお任せする感じでした。
実は、音楽プロデューサーの野崎さんも、当時新人でした。
だから、ここは、作曲家の大谷さん、音響監督の三間さんと監督で進めていく感じだったと思います。
いま思い出すと、何を話したのか?が思い出せませんが、記憶の端っこにあるのが、宇宙を疾走する宇宙船の殴り合いや主人公ジーンの格好良さなどを象徴するメロディが欲しいと話していた気がします。
聴いたら、記憶に残る印象的なメロディで欲しいと言ったことを話した気がするのです。
そして、贅沢にも「アウトロースター」は、大谷さんがシンセサイザーで作ったメロディ数曲のラフスケッチをもらいました。その曲を聴いて、関係者の意見、感想を野崎さんに戻しました。
実は実は、メインのメロディをリテークしたんです。
全員が、これは違うと意見をだしました。
わたしも、違うなと思いました。
そこで、作り直して新しいメロディが届くのですが、それは、バッチリでした。
本編で何度も流れているメインのメロディです。
このやり方は、「星方天使エンジェルリンクス」のときに、佐橋さんにラフスケッチをもらっていました。
以降、「舞-HiME」でももらっているし、「クロスアンジュ~天使と竜の輪舞」もラフスケッチを数曲もらって聴きました。他の作品もあるのですが、どれがどれだったのか?で思い出せないのです。
本番の音楽の演奏収録のまえに、聴くことができるのはすごい有難いのです。
わたしは、五線譜をいただいても全く読めないのですから……。
ついに、音楽収録の日。
わたしは、「新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA」の収録に続いて、2度目の参加です。
会場について、収録に付き合いました。
演奏者が50人を超えていたように記憶しています。
とても、豪華で予算のかかる収録でした。
当然、演奏者の人数が多いと言うことは、楽器の数が多いわけです。
そうなると、音の厚みが出ます。重厚感があります。
クラシック編成ではないのですが、それでも、とても、広く厚い曲がたくさん生まれました。
それぞれ、絵コンテをめくりつつ、このシーンに使えるかな?とか、あの話数に使う曲だなと予想しながら聴いていました。
「新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA」は、どの曲がどの話数のどのシーンに流れるかが決まっているメニューであり、曲の発注でしたが、テレビシリーズでは、絵コンテに全部合わせるのは無理です。でも、第1話など前半話数は少し揃っているので、合わせることが可能にはなります。
だからこそ、予測しながら、想像しながら聴くことになります。
わたしは、音楽の収録は2度目の経験ですので、何もかもが新鮮です。
ワクワクドキドキしながら見て、聴いていました。
そして、お昼ランチをしつつ、大谷さんと少しずつお話をしました。
距離感が少し近くなりました。
大谷さんが、「制作現場のプロデューサーが音楽の収録に来ることってないので、来てくれて嬉しい」と言われました。
わたしは、「え?そうなんですか?」と。
逆に参加するのは、良くないことなのかしら?と考えました。
邪魔なのかな?と思ったのです。
色々考えていると、大谷さんは気がついたように「プロデューサーが収録に来てくれるのは嬉しいんだよ」と言ってくれました。
わたしは、素直に受け取って良いのか?思案しましたが、「わかりました」と、受け取ることにしました。
「アウトロースター」の音楽の収録は、前半1クール目分、後半2クール目分と2回に分けて、収録したと思います。
わたしは、後半の収録にも行きました。
と言うことで大谷さんとは、2回しか会えませんでしたが、色々お話してくださった記憶があります。
とにかくアニメーションのBGMの作曲は楽しいと言っておりました。
特に、今回のような広大な宇宙もので冒険活劇は本当に色々試すこともできるし、非日常感たっぷりの曲や大袈裟な曲を書けるのでより面白いと話してくださった気がします。
これは、佐橋(俊彦)さんも、他の作曲家さんも同様に話してくださいます。
実写だとアニメほど大きな編成で広大なメロディの曲は作れないと言うのです。
確かに、特に、わたしが作るアニメは、ロボットが出てくるし、宇宙戦艦は出てくるしなので、非日常感しかないですから!!
あの頃「BGM」って何だろう?
と、自分に問いかけて、色々考えた時期でもありました。
何作か経験すると、答えらしきものが見えてきました。
主人公たちキャラクターの心情に付ける曲。
環境、状況に付ける曲。
と、BGMはざっくり分けると、2種あると思います。
実際ほとんどが、主人公たちキャラクターの行動から起きる心の動き、心情に付ける曲が大半だと思うのです。
環境、状況に付ける曲とは、例えば、パチンコ屋さんの前を通ったとき、ドアが開くと室内の音楽が漏れて聞こえてきますよね。喫茶店の店内で流れているジャズなど、そんな感じの曲です。
ちなみに、わたしが、ミュージカルを初めて観たときに感じたことがあります。
まず、舞台のうえで主役が歌うのですが、その歌とメロディがまるでアニメのBGMみたいだと思ったのです。
つまり、心の動きに付ける曲がアニメのBGMだとするなら、その曲に詩を付けて歌っているみたいに聴こえたのです。
ミュージカルで歌っている曲は、それぞれのキャラクターの思いや心情がだだ漏れしているんだと考えたとき、面白いなって感じたのです。
大谷さんのBGMが出来上がりました。
本当にありがとうございます。
派手でキラキラ光るような曲をもらいました。
音色がメロディが輝いている気がするのは、わたしの勘違いでしょうか?
素敵な曲です。皆さんももし機会があるなら、是非とも聴いて欲しいのです。
次回は、音楽プロデューサーである野崎さんのことを書きたいと思います。
それは、今年2026年5月にYouTube動画のコラボで20数年ぶりに会ってお話をしたので、色々思い出したのです。
1961年5月3日生まれ。青森県出身。
1982年日本アニメーションに制作進行として入社。1985年スタジオ・ジブリ『天空の城ラピュタ』制作進行。1987年サンライズ入社『ミスター味っ子』『勇者シリーズ』等、制作進行・設定制作・制作デスク・APを務め『新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA』からプロデューサー就任。『星方武俠アウトロースター』『GEAR戦士電童』『出撃!マシンロボレスキュー』『舞-HiME』『舞-乙HiME』他、オリジナルアニメーションを14作企画制作。
2011年2月企画会社、株式会社おっどあいくりえいてぃぶを設立。『ファイ・ブレイン~神のパズル』や『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』で企画・プロデューサー。『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』企画協力。2024年5月から『ふるさとPアニメ道』ブログ&YouTube動画配信中。2026年3月末からコミックノーラにて「貴姫さまの憂鬱~あやかし探偵事件簿」連載中。



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