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記事: 第23話:『ジブリ時代、なんと漫画原作の企画書を作らせてもらいました』

第23話:『ジブリ時代、なんと漫画原作の企画書を作らせてもらいました』

ジブリ時代、ある日のこと。

社長がわたしを呼びました。

はい、何でしょうか?と言うことで、そばに行くと、一冊の漫画の単行本を渡されました。

タイトルは知っていましたが、読んだことのない漫画です。

「古里くん、それ読んでアニメ化の企画書を作成して欲しい」と言うことなのです。

 

「え?」

 

わたしは、当時アニメの企画書など書いたことはありません。

それより、企画書を見たことがないのです。

いきなりの社長の命令に、目がシロクロです。

机に戻ってきたわたしは、まずは単行本を読むことをはじめました。

当時、何巻まであったのか?覚えていませんが、全巻そろえるために本屋さんに行って買ってきました。当時吉祥寺の街に、本屋さんが数軒あったので助かりました。いまは、本屋さんは減ってしまい、目立つ本屋さんは1軒だけになっています。

改めて数巻読んで、次は、アニメ誌にチラっと載っているアニメの企画書の断片を見つけることです。あと、社長が前に作った企画書を参考としてもらったような気がします。

 

何となく覚えているのは、単行本(コミック)から印象的なコマ、各キャラクターの説明に使えそうなカッコいい絵や可愛い絵、それぞれをコピーすることです。また、拡大、縮小もしました。

そして、ハサミでチョキチョキして、企画書に貼り込めるようにコマ割りに合わせて切る作業です。

 

いまなら、スキャンしてjpgデータに変換後、パワポやフォトショップを使ってデータの貼り込みをやるんですよね。当時は、超アナログでの作成でした。

でも、ストーリー紹介、キャラクター紹介、設定紹介などの文字入れは、なんとワープロでやりました。

 

ただし、このときのワープロは、液晶はモノクロで一行しか見られないと言うとんでもない代物です。

レイアウトやフォントやらポイント(大きさ)などを考える前に、兎にも角にもテキストを打ち込むしかありません。

ちなみに、ワープロに打ち込んだ文字も印字後、コピー機で拡大縮小してコピーするのです。

さらに、絵と同様に、ハサミでチョキチョキ。

あとは、A4の用紙に切ったパーツをまるでジグソーパズルのようにして貼り込んでいくことになります。

 

一週間くらいかけて作成したのではと思います。

どんな中身になったのか?を、思い出すことも出来ないのですが、きちんと、作品の魅力やテーマなど書いたのか?など、とても不安満載です。いまごろ不安になるなってことだとは思いますが、当時は良し悪しなどの尺度を持っていなかったのです。

 

社長がどこかしらのメーカーにプレゼン資料として使えたのか??

 

いまなら、プレゼン相手のお客さんに訴求出来る企画書を作れるとは思いますが、初めての作業でしたので、わたしはとても勉強になりました。

 

この後、サンライズ時代28歳のときに、吉井プロデューサーからオリジナルのロボットアニメの企画書を書いて来い!と言う宿題が出されたときに書くことが出来たのは、ジブリ時代のこの件があったからでした。

経験が出来ることの大切さを強く感じた出来事です。

 

当時に限らず、いまも本屋さんに行っても、アニメ化の企画書の書き方の本(ガイドブック)はありません。

ですから、ビジネス書用に書いてあるものを、アニメ用にアレンジするしかないです。

 

社長が持ってきたコミックを読んで感じたのは、本当に面白い物語でした。

SF具合も難しすぎず、SFをあまり知らない人でも見られるものでした。

また、宇宙を舞台にしメカも出てくるし、アクションもありつつもカッコいい。

でも、濃いめの家族ドラマもあってと、設定とドラマに良い意味でギャップがあります。

などなど、その作品の持つ良さ、面白さ、更に、アニメになったときのメリットを書いてアピールしなきゃと感じましたので、素人であり企画書作成初心者のわたしが頑張って作ったことを思い出します。

 

ちなみに、その漫画のタイトルまで書けないですが、ジャンルはSF、コメディ、メカアクション物でした。

 

最後に、その企画はボツになりました。

とても残念です。もし当時のジブリでテレビシリーズのアニメを作ることが出来たら面白かっただろうなって思います。

 

社長、わたしなような当時23歳のバカモノ(若者)にチャンスを下さり本当にありがとう御座いました。

 

 

 🔻ふるさとP写真録:今週の一枚 

 

追伸:

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古里尚丈(ふるさとなおたけ)

1961年5月3日生まれ。青森県出身。

1982年日本アニメーションに制作進行として入社。1985年スタジオ・ジブリ『天空の城ラピュタ』制作進行。1987年サンライズ入社『ミスター味っ子』『勇者シリーズ』等、制作進行・設定制作・制作デスク・APを務め『新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA』からプロデューサー就任。『星方武俠アウトロースター』『GEAR戦士電童』『出撃!マシンロボレスキュー』『舞-HiME』『舞-乙HiME』他、オリジナルアニメーションを14作企画制作。

2011年2月企画会社、株式会社おっどあいくりえいてぃぶを設立。『ファイ・ブレイン~神のパズル』や『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』で企画・プロデューサー。『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』企画協力、『グレンダイザーU』アソシエイトプロデューサーとして参加。現在、ゲーム等参加、新企画を準備中。

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