第35話:『舞-HiME、グッズ発売、コミック&ムック本発売、アニメ誌の展開などが宣伝のひとつになりました』
オリジナルアニメでしたので、先にお客さんに「舞-HiME」を知ってもらうためにも放送前の2004年8月秋田書店週刊少年チャンピオンで漫画連載が開始しました。
そして、テレビ放送した10月に単行本第1巻の発売となりました。
なんと、発売の前日夜に売り切れたと言う訳のわからない情報が耳に入ってきました。さらに、発売後数日して秋田書店さんから増版が決まったと連絡が来ました。
「え?決まるの早くないか?」と嬉しさより困惑状態。
これも、あとで聞いたら、いくつかの本屋さんで発売前の日の夜に並べたら売れてなくなったとのことでした。そして、発売日当日になくなったお店も多かったようなのです。
特に、秋葉原にある本屋さんは、お店のスタッフさんが、手書きのポップを用意してお客さんにアプローチしてくださったりと、お店のオススメとしてプッシュしてくれたとのことでした。じんわりと、色々な方が宣伝してくださったのだと分かって、本当に嬉しかったです。
さらに、バンダイベンダー事業部がガシャポンのフィギュア計6体「舞衣、なつき、命、詩帆、静留、碧」を用意しており10月に発売!これも、発売直後に完売となり、第2弾が決まりました。こちらは、電童のときの担当氏が企画書段階でフィギュア化の企画を出していたのです。まだ、放送もされていないので設定のポーズのままの商品でした。
放送直後の10月のガシャの発売ですから第1話、第2話を見た視聴者さんが物珍しさや新鮮さがあるので、ちょっと興味を持って買ってくれたのです。
2005年以降、各企業さんがフィギュア、ガレージキットがたくさん商品化してくださいました。なんと舞衣、なつき、静留の抱き枕もありました。これが、スタジオに商品が届いたのですが、誰も持って帰らなかったのが印象的でした。特に、妻帯者は無理ですよね。最終的に誰が家に持って帰ったのかしら?
また「舞-HiME」放送直後、サンライズのライツ事業部の担当氏から電話が来ました。
「古里さん、舞-HiMEのムック本を作りたいと言うオファーがあります」とのこと。
え?まだ2話しか放送していないので、何故?状態です。
それは、一迅社と言う出版社です。
ムック本などの色々企画をしていました木村(晃)編集長が「舞-HiME」を見てムック本を作りたいと手を挙げて下さったのです。
そこで幾つかのお願いがありました。
秋田書店さんが4月にムック本を発売するので、内容が被らないこと。判型サイズが違うことです。
秋田書店さんのムック本は、漫画の単行本と同じサイズの判型となります。いわゆる、小さめのムック本です。アニメのムック本は、変形A4版が多いかなと思います。
設定、話数、声優やスタッフインタビューが載ります。そして、前後編として2冊出すことになりました。前編として4月10日に発売が決まりました。後編は、5月10日発売です。
そこで、考えて出したアイデアとしてアイドルグループの女の子たちの水着姿の写真集のテイストにしよう!でした。
そこで、描き下ろしによる女の子たちと海辺、浜辺の背景の合成となりました。
作業のタイミングが、本編の後半話数の作画中なのです。
一番忙しい久行さんには表紙のイラストは絶対に描いてもらうのですが、あと何枚描けるのか?です。
数名のアニメーターの力を借りて、最終回直後に描き下ろしイラストが15枚もある豪華な水着イラストムック本が完成、3月18日発売です。これも、最終回前の発売で本屋さんに並んだのですが、放送中に発売するなんて大胆だし、それに間に合ったのも奇跡です。
各企業さんも関係者の方々もちょっと変わった企画の商品化が「舞-HiME」なんだと理解してくれたのか、ヒネリが入った物が多かった気がします。
そして、秋田書店さんの前編のムック本が4月から怒涛の発売になります。「舞-HiME」の単行本計5巻&ムック本2冊と判型サイズが同じなので本棚に計7冊並べることが出来ます。
2005年春頃になると、CD、DVD、ゲームもグッズもフィギュアも続々発売となっていましたので、何だか「舞-HiME」は勢いがあるアニメとして各企業さん、そして、視聴者さんに受け取ってもらえたかも知れません。
アニメのムック本だけでなく、CIRCUS版ゲーム「舞-HiME 運命の系統樹」のムック本も発売しました。
さらに、「舞-乙HiME」のフィギュア、ガレージキットも含めて、「舞-HiME&舞-乙HiMEフィギュアスペシャル」と言うムック本が2007年2月に発売しています。これは、2006年くらいに知り合った編集さんからのムック本企画でした。最初聞いたとき、「え!フィギュアの特集本ですか?」となりました。わたしの心のなかでは、そんなにたくさんフィギュアやガレージキットってあったっけ?と、きちんとページが埋まるのか?の心配からでした。
ムック本は、7冊発売しました。
この中の1冊は、わたしの願いである「久行宏和」さんのイラスト集を発売することでした。
2006年2月にソフトバンククリエイティブ刊「MAIHiME-久行宏和アートワークス-」を出すことになりました。
アニメ誌「月刊アニメージュ」「月刊ニュータイプ」は、2004年3月10日発売から発表してもらいました。以降、描き下ろしイラストがずっと続きました。
そして、学研メガミマガジン誌では、3月末に予告を打ち、4月末発売号から「舞-HiME」の小説(前日談)を連載しました。上下巻に小説を単行本化してメガミ文庫から発売しました。メディアライターと言う名称でライター木村(暢)さんに書いてもらいました。木村さんは、秋田書店「週刊少年チャンピオン」の漫画連載のための脚本も書いてもらっています。
2004年1月辺りに各編集部に行って、アニメ誌の編集長さん&担当編集さんに、「舞-HiME」の企画意図を全て隠さず話しました。
最終回までおおよそのストーリーを説明、このアニメの企みに加担して欲しいと、一緒に作る仲間になって欲しいと嘆願しました。そうしましたら、全てのアニメ誌さんは出し抜くことなく記事を発表してくださいました。いまの時代と違って、まだまだ情報を得るには月刊誌などの持つ力はあったのです。だからこそ、「舞-HiME」を作る一員になってもらいたいと願ったのです。
2004年4月から、バンダイビジュアルスポンサーで、ラジオ大阪とTBSラジオで「舞-HiMEラジオ 風華学園放送部」も始まりました。収録も、スタジオを飛び出て、屋形船、お花見など外でもやりました。
オリジナルアニメですので、放送の半年前から何らかのかたちでアニメ好きな方々にタイトルを知ってもらうためにアニメ誌、ラジオ、夏のイベントへの声優の登壇、東京駅に大判のポスターを貼るなど宣伝、告知となりました。
「舞-HiME」は、大手のバンダイさんが宣伝費をかけて大々的にアプローチして、世の中に打って出ると言ったアニメではありません。
さらに、ナショナルスポンサーが入っているアニメでもないのです。
また、大手出版社の有名原作のアニメ化でもありません。
だからこそ、メインスポンサーのバンダイビジュアルの宣伝は、本当にありがたかったです。
いま、改めて思い出すと、バンダイビジュアルの轟宣伝プロデューサーの仕込みは非常に的確であり、素晴らしいものだと思います。
「舞-HiME」は、じわじわと草の根運動的に広がっていったように思います。
SNSがまだなかった時代です。
インターネットでは、2チャンネルとかブログはありましたが、現在主流のツール「スマホ」のない時代ですし、エックス(旧Twitter)やインスタグラムもない時代です。
ですので、「口コミ」が大切だったと思います。
だから、2004年10月の放送直後に発売した単行本第1巻がすぐに売り切れた!とか、ガシャポンも同様にあっという間に売り切れてなくなったと言うのは、企業側にもお客さんにも「舞-HiME」と言うアニメは良い意味でおかしなことになっているぞ!と波が立った、波が生じたことはたくさん放送されたアニメのなかで目立てたのかも知れません。
アニメ「舞-HiME」を見てくださった視聴者の皆さんがいたからこそ、そして「舞-HiME」のCD、DVD、ゲーム、本、各グッズなどを手に取ってくださったお客さんがいるからこそ、20年経ったいま、「20周年イベント」をやることができます。
2025年も「舞-HiME20周年」で何かおかしなことをやるぜ!と言わんばかりに、幾つか企んでおります故、発表の時期が来ましたら色々お知らせします。
お待ちくださると幸いです。
🔻ふるさとP写真録:今週の一枚
追伸:
YOUTUBE「ふるさとPアニメ道」もスタートしましたので、ぜひぜひチャンネル登録の上、ご覧くださいませ。
🔻リンクはこちら
HTTPS://WWW.YOUTUBE.COM/CHANNEL/UC_JRVVLJSFUHGMXPCVYUQ5A
古里尚丈(ふるさとなおたけ)
1961年5月3日生まれ。青森県出身。
1982年日本アニメーションに制作進行として入社。1985年スタジオ・ジブリ『天空の城ラピュタ』制作進行。1987年サンライズ入社『ミスター味っ子』『勇者シリーズ』等、制作進行・設定制作・制作デスク・APを務め『新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA』からプロデューサー就任。『星方武俠アウトロースター』『GEAR戦士電童』『出撃!マシンロボレスキュー』『舞-HiME』『舞-乙HiME』他、オリジナルアニメーションを14作企画制作。
2011年2月企画会社、株式会社おっどあいくりえいてぃぶを設立。『ファイ・ブレイン~神のパズル』や『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』で企画・プロデューサー。『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』企画協力、『グレンダイザーU』制作統括として参加。現在、ゲーム等参加、新企画を準備中。
コメントを書く
このサイトはhCaptchaによって保護されており、hCaptchaプライバシーポリシーおよび利用規約が適用されます。