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記事: 第49回:『クロスアンジュ、メインタイトルの決め方は難しいのです』

第49回:『クロスアンジュ、メインタイトルの決め方は難しいのです』

今回は、オリジナルアニメのメインタイトルの変遷、そして、決定稿への流れを書いてみたいと思います。

 

都度、どのタイトルであっても、メインタイトルを決めるにはとても時間がかかります。何案も出して協議をします。わたしの記憶では30案ほど出すこともありました。

またシナリオ打ちが始まって半分くらい進んでいてもまだ決まらないこともあります。

 

特に、わたしはオリジナルアニメの企画、制作にたずさわることが多いので、メインタイトル決めを何度も経験しました。

わたしにとっては、勇者シリーズのタイトル決めは、「勇者エクスカイザー」「太陽の勇者ファイバード」「伝説の勇者ダ・ガーン」「勇者特急マイトガイン」「勇者警察ジェイデッカー」「黄金勇者ゴルドラン」となります。6作経験しましたので、勇者シリーズのことを書くときに思い出してみます。

 

わたしがプロデューサーになってからのオリジナルアニメ、「GEAR戦士電童」「激闘!クラッシュギアターボ」「出撃!マシンロボレスキュー」「舞-HiME」「舞-HiME」「宇宙をかける少女」「ファイ・ブレイン~神のパズル」「クロスアンジュ~天使と竜の輪舞」。

そして、「少女歌劇 レヴュースタァライト」については、タイトルが決まるまでの経緯をそれなりに覚えています。これも、都度のタイトル時に書いていきます。

 

メインタイトルが生まれる、決まることについて、いくつかの意味と理由があってかたちになっていくのかな?と思っています。

 

・主役キャラ及び主役ロボットの名前

「勇者シリーズ」は全てここに当てはまります。また、「魔神英雄伝ワタル」です。

GEAR戦士電童」もここです。特にサンライズ作品は、このタイトル付けが多かった記憶があります。「ゴジラ」や「ウルトラマン」は言わずもがな、です。

 

・物語の内容(つまり主人公のドラマ)

「コードギアス反逆のルルーシュ」主人公が世の中の掟(ルール)に反逆する物語の意味かなと思います。

割合、小説に多いタイトルの付け方かなと思います。

「舞-HiME」も、微妙にここに近いかもです。ヒメと呼ばれる少女たちが誰かの手で踊らされる(舞う)物語、ですから。

 

・世界観の説明

「装甲騎兵ボトムズ」「新世紀GPXサイバーフォーミュラ」など。

「ファイ・ブレイン~神のパズル」は、ここにあたるかな?

「Φ(ファイ)」とは数学記号では「黄金数(golden number)」を言う。「黄金数(golden number)」とは、近似値1:1.618、約5:8の黄金比を指し、安定的で美しい比率とされる貴金属比の一つである。

と言うことから、黄金数の脳を持った少年たちが神のパズルをみつけて解く少年たちの物語の意味となるんですね。

 

 

さて、ここから「クロスアンジュ~天使と竜の輪舞」のタイトルの変遷です。

 

一番最初、2010年秋、ライター樋口達人さんが企画案に書いていたのは「ロスト・プリンセス~墜憶(ついおく)のマリアージュ~」と言うタイトル案でした。

 

ロスト・プリンセスも意味合いとしてストーリーに合っていると思いました。

すべてを持ったお姫さまがすべてを失い、過ぎ去ったことに思いを馳せる。

マリアージュとは、結婚やもともとふたつで別々だった存在があたかもひとつの存在のように調和した状態になることを言うようです。

お姫さまとロボットのマリアージュ、あるいは、お姫さまと竜のマリアージュなのです。

と、樋口さんが書きたいことがこのタイトルに込められているのです。

 

そこにわたしは、天使であるエンジェルことアンジュの読みの主人公の名前にしたかったんです。

昔、「星方天使エンジェルリンクス」と言うタイトルのアニメを作りましたので、すでに「エンジェル」は使っていました。

 

そして、次が「姫」、「乙女」、「アイドル」、「少女」と言った単語をメインタイトルの一部に使用してきたのです。

 

その流れで改めて「天使」を使いたかったのですが、読み方は変えたかったのです。

そこで「アンジュ」としました。

 

余談ですが、その後に企画協力で参加した「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」なので「スター」が付いてますね。

わたしとしては、今後頑張る女の子が主役のシリーズ?があれば使いたい単語があります。

それは、「巫女」です。

 

と言うことで、ちょっとだけ宣伝になるのですが、読んでもらえると嬉しいです。

 

2025626日日学研より発売「いのまたむつみ画集MIA(ミア)」のなかに、いのまたさんがわたしの企画のために描いたラフ画が載ります。

その中のタイトルが「おゆみこ」と言います。そうなのです、ここで「みこ」を使います。漢字ではありませんが、わたしの企画してきた数作目の女の子主役の物語となります。

また、「おゆみこ」の漫画やショート動画などの展開も動いております。

ちなみに、学研発売の「いのまたむつみ画集MIA(ミア)」には、「おゆみこ」以外にも別な企画のために描いてもらったラフ画も載ります。

と、宣伝コーナーでした。

 

 

改めて、樋口さんにタイトル案としていくつか提案してもらいました。

 

「アンジュとアッシュ~灰の中の機天使」

「アンジュ×アッシュ~灰の中の機天使」

「アンジュ×アッシュ(A×æ)~灰の中の機天使」です。

 

ちなみに、このアッシュの意味は灰です。

つまり、灰からもよみがえる少女のものの意味となります。

また、このアッシュはロボットの名称です。

天使と灰の組み合わせから想像できるのは、よみがえる鳳凰、火の鳥ではないですが、世界に対して本音で「NO」が言える主人公の復活劇を考えたのです。

 

次が「×アンジュ」、読み方は「クロス(交わる)アンジュ」でした。

機天使って面白い名称ですよね。ロボットのことを指すのか?あるいは、主人公アンジュのこと指すのか?これはこれで、ありだなって当時思ったのは内緒です。

 

アニメ制作が始まり、監督やメインスタッフの意見が加わり変わることになります。

ロボット名が変わりました。

よって、アッシュ名がなくなります。

機天使もなくなりました。

 

では、ラストに決まった「クロスアンジュ〜天使と竜の輪舞」の意味は?

これは、主人公の名前、そして、世界観、物語の一端が書いています。

前回、第48話のなかで企画内容、物語、キャラクターの意味など書きましたので、ぜひ

読んでもらえると嬉しいです。

 

主人公アンジュと言うキャラ名を書く。

誰かとアンジュがクロス(交わる)物語、そして、アンジュと言う天使と竜の輪舞曲(ロンド:丸く輪になって踊る)の意味もあるのです、これって物語をざっくりと示していると思うのです。

 

本当に、メインタイトルひとつに対しても、様々な人たちの思いが交錯しますね。それこそ、クロスします。

 

メインタイトルは、数ヶ月かかって決まることもあれば、12時間の打ち合わせで決まることもあります。

企画書にある「◯◯◯◯◯(仮)」の(仮)が単に外れるだけで決まることもあります。

 

ちなみに、玩具連動型のロボットアニメのタイトルでは、ロボットが商品名なので色々調べて他に似た名称があるのか?ないのか?と情報を集めます。

 

さらに法律的に問題ないか?など、ルールにのっとって決めていくので、最後に使えないので変わることもあります。

 

メインタイトルは、テレビ放送された後、何年も、何十年も使われるし、お客さまの目に触れますので、とても大切で重要なファクターだと思っています。

だからこそ、考える時に楽しいですが、決めるためには大変な思いをすることもあるのです。

 

 

あと、わたしには密かな楽しみがあります。

視聴者、お客さまに、メインタイトルをどのように略称して呼称してもらえるのか?を考えるのです。

制作現場で使っている略称と同じになるのか?それとも、新しい略称を作ってくださるのか?毎回、ドキドキします。

 

「クロスアンジュ~天使と竜の輪舞」は、素直に「アンジュ」呼びが多かった記憶があります。

 

「舞-HiME」で「マイ」と呼んでくれる知り合いがいるのですが、読み方4文字を更に減らして2文字で呼ぶ、これはびっくりしました。

でも、通常は「ヒメ」呼びが多かった気がします。

 

例え話が違いますが、マクドナルドのことを「マック」と「マクド」と略称が2種あります。日本人は長い名称だとすぐに短くするのが得意な気がします。

 

わたしは、視聴者さま、お客さまに愛されて略称呼びされているのかな?とも思っています。

もしかするとあだ名のようなニュアンスも加味されているのでは?と。

愛されている証拠かも?と勝手に感じており幸せを感じています。

 

 

◆下記、「告知」となります。わたしが昔関わったタイトルのイベントです!

 

【祝20周年!あの日の感動をみなさんと一緒に!】

 

「舞-HiMETV放送20周年を記念して『フィルムコンサート』の開催が決定しました!

 

本イベントは、TVアニメ『舞-HiME』&『舞-HiME』の名場面の数々を、映像と劇伴の生演奏で体感していただくコンサートです!作品内で流れる“劇伴”を作曲した梶浦由記氏をむかえて、劇伴の魅力をより深く体感していただきます。さらに、主題歌アーティストによるOP/ED曲の歌唱やキャストを交えたトークなど、改めて作品の魅力を深堀りしていただけるような企画もご用意しております。

 

 

<公演概要>

 

【タイトル】TVアニメ『舞-HiME&『舞-HiME20周年記念 フィルムコンサート

【日時】2025920日(土)

昼の部|12:00開場/13:00開演

夜の部|16:30開場/17:30開演

 

【場所】松戸・森のホール21 大ホール

【チケット】全席指定 10,800円(税込)入場者プレゼント付き

 

【出演】

<演奏>

梶浦由記(Piano

Vocal:戸丸華江, KAORI, YURIKO KAIDA, Joelle

MUSICIANFRONT BAND MEMBERS

是永巧一 (Guitar), 佐藤強一 (Drums), 髙橋“Jr.”知治 (Bass), 今野 均 (Violin), 奥泉貴圭 (Cello,赤木りえ (Flute), 中島オバヲ (Percussion), 大平佳男 (Manipulator)

 

<アーティスト>

栗林みな実,美郷あき ほか

 

【関連リンク】

■『 TVアニメ『舞-HiME』&『舞-HiME20周年記念 フィルムコンサート』公演特設ページ 

https://lantis.jp/special/maihime_filmconcert/

 

 

企画 バンダイナムコフィルムワークス/バンダイナムコミュージックライブ

制作 バンダイナムコミュージックライブ/ハートカンパニー

協力 おっどあいくりえいてぃぶ/HIGHWAY STAR

 

 

 

🔻ふるさとP写真録:今週の一枚 

 

追伸:

YOUTUBE「ふるさとPアニメ道」もスタートしましたので、ぜひぜひチャンネル登録の上、ご覧くださいませ。

🔻リンクはこちら

HTTPS://WWW.YOUTUBE.COM/CHANNEL/UC_JRVVLJSFUHGMXPCVYUQ5A

 

 

古里尚丈(ふるさとなおたけ)

196153日生まれ。青森県出身。

1982年日本アニメーションに制作進行として入社。1985年スタジオ・ジブリ『天空の城ラピュタ』制作進行。1987年サンライズ入社『ミスター味っ子』『勇者シリーズ』等、制作進行・設定制作・制作デスク・APを務め『新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA』からプロデューサー就任。『星方武俠アウトロースター』『GEAR戦士電童』『出撃!マシンロボレスキュー』『舞-HiME』『舞-HiME』他、オリジナルアニメーションを14作企画制作。

20112月企画会社、株式会社おっどあいくりえいてぃぶを設立。『ファイ・ブレイン~神のパズル』や『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』で企画・プロデューサー。『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』企画協力、『グレンダイザーU』制作統括として参加。現在、ゲーム等参加、新企画を準備中。

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