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記事: 第53回:『クロスアンジュ、アンジュのパラメイルは3DCGでした』

第53回:『クロスアンジュ、アンジュのパラメイルは3DCGでした』

「クロスアンジュ」の原稿は、前回で終わりだったのですが思い出したことがあり、それを書きたいと思ったのでおまけコーナーになります。

 

パラメイルこと、アンジュたちが乗るロボットについてです。

メカデザインは、阿久津潤一氏が描いております。

わたしとは、「GEAR戦士電童」からの付き合いとなります。

 

主人公ロボットこと、パラメイルの名前は「ヴィルキス」。

そのデザインは、わたしが最初に企画書に使用したデザインからガラッと変わっています。

コクピットもバイク的デザインになっています。

 

また、デザインとして線減らしをしていません。

模様なども含めて、とにかく線が多いデザインになっています。

さらに、頭部にフィギュアヘッドが付いています。

いわゆる、船の船首にある女神などの像のことです。それが、パラメイルには付いているのですが、これらは手描きだと付けません。

しかし、「3DCG」でやるとなると、細かい部分まで拘ります。

 

通常は、アニメーターが描くことになるので、なるべく線を減らして描きやすくするのですが、この「クロスアンジュ」は「3DCG」で行くのが制作に入る当初から決まっていました。

そこで、線の分量を気にせず、線減らし前提にデザインする必用がなくなりました。

 

ですので、関節部分などアチラコチラに構造体としてパイプやアクチュエータ、ダンパーやフレームなど見えています。それらは、かなり細かくデザインされているのです。

これは、手描きだと対応できなくなります。

3DCG」だからこそのデザインですね。

 

実は、わたしは、「GEAR戦士電童」では、データウェポンの一部、少しですが「3DCG」にしています。

そして、「激闘!クラッシュギアターボ」のGEARを「3DCG」で表現しています。

「出撃!マシンロボレスキュー」のマシンロボたちは「3DCG」です。

これら、3作のメカにあたる設定に、「3DCG」を使用しているのです。

 

わたしは、これらの作品で「3DCG」を使うのですが、それぞれで課題が生まれました。

まず、「「激闘!クラッシュギアターボ」と「出撃!マシンロボレスキュー」のGEARのメカ・ロボットにトレス線のないスタイルで実写的に見える、立体的なロボットとして表現しています。

手描きアニメでは、キャラやメカを鉛筆で線を描くこととなり、輪郭線の部分が実線(トレス線)になります。

トレス線があるので、背景とキャラ、メカがきっちりと分かれることとなります。

わたしは、背景に溶け込まない、トレス線できちんとキャラやメカが目の前に飛び出るような手描きアニメが好きです。

 

と言うことで、わたしのお願いを聞いてもらいました。

「クロスアンジュ」のパラメイルなどロボットやメカは、輪郭線のあるスタイルで表現したかったのです。きちんとトレス線が引いていて、アニメーターが鉛筆で描いているニュアンスにするわけです。

CGの持つ固さが、メカの固さと相性は良い方だと思っています。

 

2024年、福田監督が担当した映画「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」が公開しました。

そこでは、モビルスーツがほぼ全て「3DCG」でした。

映画館の大きなスクリーンで観たのですが、これも有りだなって思いました。

 

いまの時代、ロボットを描けるアニメーターさんたちがどんどん減っています。

メカやロボットが好きで、上手に描いていたアニメーターさんたちは、なんとわたしより年齢が上だったりします。

 

若いアニメーターさんたちは、メカやロボットを描くことが苦手です。

だからこそ、3DCGに置き換わって行くことが必然となっています。

 

ロボットアニメは、すでに絶滅危惧種だったりします。

 

今後、メカ物、ロボットアニメは増えることはないと思います。

そうなると、視聴者がその手のアニメを見ないで大人になりますし、もし、アニメ業界に入ってくるアニメーターさんたちは、メカ物、ロボットアニメを見ていないから、知らないしさらに興味を持たなくなります。

と言うような展開が生まれる可能性があります。

 

手描きのメカ、ロボットが減るなか、もし「3DCG」でメカ、ロボットをやらないとなったら、とてもヤバいと思っています。

ですので、わたしは、この「3DCG」はウエルカムなのです。

 

映画「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」のモビルスーツのアクションがとても良かったと感じました。

これは、3DCGチームのクリエイターたちの勉強とセンスの賜物だと思っています。

アニメーター重田(智)さんの持つカッコいいロボットアクションのエッセンスも引き継いているように見えました。

結局、「3DCG」のオペーレーターも手描きアニメーターの持つ動かすことへのセンスが必須なのではないか?と思うのです。

 

ロボットアクションの持つダイナミズムをより魅力的に表現できるようになるには、カメラワークや演技などの勉強も必用だし、でもその個人の持つセンスが重要なのではないか?と勝手ながら思うのです。

 

改めて、当時の「クロスアンジュ~天使と竜の輪舞」のパラメイルは、「3DCG」チームのスタッフがめちゃくちゃ頑張ってくれており、とても、素敵なアクション等見せてくれました。

途中からはアニメーターさんが描くアクションのガイド絵も使っておらず、アニメーターさんのように絵コンテからオペレーターさんが色々模索し考えて構築していたと聞きました。

 

「クロスアンジュ」の頃からすでに丸っと10年ちょっと経ちました。

各所の「3DCG」のスタッフたちも進化していると思います。

と言うか、是非とも進化してください。

 

わたしの願いは、ロボットアニメが1本でも残って欲しいのです。

世の中からなくならならいで欲しい、と願うばかりです。

 

 

 

 

 

 

◆下記、「告知」となります!

 

 

<公演概要>

 

【タイトル】TVアニメ『舞-HiME&『舞-HiME20周年記念 フィルムコンサート

 

【日時】2025920日(土)

昼の部|12:00開場/13:00開演

夜の部|16:30開場/17:30開演

 

【場所】松戸・森のホール21 大ホール

【チケット】全席指定 10,800円(税込)

 

【チケット販売情報】

<公式HP先行>

受付期間:412日(土)10:0056日(火・休)23:59

受付URLhttps://eplus.jp/my-zhime20th/

※枚数制限:おひとり様1公演につき4枚まで(複数公演お申込み可能)

 

 

【関連リンク】

■『 TVアニメ『舞-HiME』&『舞-HiME20周年記念 フィルムコンサート』公演特設ページ 

https://lantis.jp/special/maihime_filmconcert/

 

 

企画 バンダイナムコフィルムワークス/バンダイナムコミュージックライブ

制作 バンダイナムコミュージックライブ/ハートカンパニー

協力 おっどあいくりえいてぃぶ/HIGHWAY STAR

 



🔻ふるさとP写真録:今週の一枚 

 

追伸:

YOUTUBE「ふるさとPアニメ道」もスタートしましたので、ぜひぜひチャンネル登録の上、ご覧くださいませ。

🔻リンクはこちら

HTTPS://WWW.YOUTUBE.COM/CHANNEL/UC_JRVVLJSFUHGMXPCVYUQ5A

 

古里尚丈(ふるさとなおたけ)

196153日生まれ。青森県出身。

1982年日本アニメーションに制作進行として入社。1985年スタジオ・ジブリ『天空の城ラピュタ』制作進行。1987年サンライズ入社『ミスター味っ子』『勇者シリーズ』等、制作進行・設定制作・制作デスク・APを務め『新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA』からプロデューサー就任。『星方武俠アウトロースター』『GEAR戦士電童』『出撃!マシンロボレスキュー』『舞-HiME』『舞-HiME』他、オリジナルアニメーションを14作企画制作。

20112月企画会社、株式会社おっどあいくりえいてぃぶを設立。『ファイ・ブレイン~神のパズル』や『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』で企画・プロデューサー。『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』企画協力、『グレンダイザーU』制作統括として参加。現在、ゲーム等参加、新企画を準備中。

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