記事: 【後編】元ゲーセン店長と、神社の息子・ライセンス選手の二刀流から見た鉄拳esportsの世界
【後編】元ゲーセン店長と、神社の息子・ライセンス選手の二刀流から見た鉄拳esportsの世界
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今回は、株式会社いいじゃんの代表 鈴木将史(以下、鈴木)と、EVO Japan 2025のTEKKEN8部門に出場するB君選手(以下、B君)の対談・後編です。
(前編はこちら)
EWCには夢がある。
――特殊な経歴を持つ2人から見た現在の鉄拳esports
鈴木:
B君は神社の息子さんなんですって?お寺だったかな?
B君:
はい、間違われやすいんですが、ぼくは「神社」の息子です。「神社」は自然や祖先の霊を祀る神道で、鳥居や拝殿があります。
「寺」っていうのは、仏教の教えを伝える場所で、仏像や経堂があります。分かりにくいかと思いますが、違うんですよね。
鈴木:
なるほど。そんなB君がesportsとの二刀流って面白い経歴ですよね。
今の(2025年現在)鉄拳esportsにおいてB君が目指す目標のようなものはあるのですか?
B君:
ぶっちゃけますと、ぼくを含めたチーム所属のプロプレイヤーは皆、EWC 2025(Esports World Cup 2025)に全てを賭けています。
鈴木:
昨年のEWCはわたしもYouTubeで観戦しました。EWCの賞金額がすごいって話題でした。
B君:
そう。効率が良すぎます。それが理由で鉄拳esports用の企業プロとチームが立ち上がるくらいですし。チーム運営会社としても、入賞する選手が出れば明らかにリターンがいいんですよ。
鈴木:
そうか、当たり前だけどプロプレイヤーの目標として賞金は明らかに重要な要素なんだ。
B君:
交通費に対して、賞金期待値の費用対効果が高いので。夏まではEWC 2025本戦出場を目指しつつ、その道中でTWT 2025のポイントを貯めていく。
昨年実績をみると、たとえEWC本戦で最下位でも、交通費も出てさらに賞金約70万円を獲得できるという。超うまくいけば1回の渡航費だけで、優勝賞金約6,000万円を稼げるチャンスがありますからね。
TEKKEN8だけでも賞金総額1億円超えてますから。それはさすがに効率が良いです。
鈴木:
確かに夢がありますね。プロ野球選手並みの金額になってきました。
B君:
TWTのツアー賞金だけですと、まだプロとして専業活動するのはどうしても難しいんですよ。企業やチームが支援するのにも限界がありますし。今までは、ほとんど所属チームにおんぶにだっこでした。それがEWCのお陰で、ようやく専業で頑張れるチャンスの芽が出てきました。
鈴木:
若い才能が発掘される可能性が増えましたね。
B君:
そうなんです。なのでEWC 2024では、スウェーデンとサウジアラビアの最終予選LCQ(ラストクオリファイ)は、ぼくは自腹で参加しました。
鈴木:
自腹!!本来はこうした若手のチャレンジに上の世代が支援する仕組みがあるといいよね。「いいじゃん」も可能な限り応援したいです。
B君:
ありがとうございます!
鈴木:
ちょっと興味があるのですが、北欧スウェーデンと、中東サウジアラビアのLCQで何か違いがありましたか?
B君:
めちゃめちゃありましたよ。まず参加者の属性が違う。スウェーデンは地元のカジュアルユーザーの参加が多い印象でした。一方サウジアラビアのLCQは皆が実力者ばかりで、ギラついてる感じでした。結果として13/200位だったのですが、今年は本戦出場したいです。
EWCには夢がある!!
鈴木:
地域性の差があるって、オフライン大会の魅力ですよね。いい話が聞けました。
DOJO大会は素晴らしい。
――TWTについて感想をお願いします。
B君:
TWTの良いところは、DOJO大会ですよね。各地のリージョナルポイントで、TWT本戦に出場できる。プロチームに所属していない選手にもチャンスがある。
TWT 2024では、日本中を回って少年くん(選手)がその本戦出場の夢を掴んだんですよね。TEKKEN8初年度だったからなのか?プロライセンスもゲットしましたし。
鈴木:
絵に描いたようなシンデレラストーリーだなあ。TWTのリージョナル制度、DOJO大会システムは素晴らしいですね。
B君:
銀座のTZ、上野のauさん、大阪のZEROさん。色んな企業さんがしっかり大会を開催してくれて。門戸が広がったのは素晴らしいことで、できれば今年もしっかりした企業さんの継続的な支援があったらいいなと思います。
ちゃんとリスペクトして、EVO Japanとか、EVOJって呼んであげて欲しい(笑)
――EVO Japanについて
鈴木:
EVO Japanは、2018年から始まって今年で開催6回目なんですってね。
B君:
ぼくが参加するのは3回目かな。実はぼくは最初の頃は大学生で、テスト期間とかと被っていて全然参加できなかったんですよ。
鈴木:
それはしょうがない(笑)
そもそも本国アメリカでの開催から数えると、EVOってもう20年ぐらいの歴史になるのかな。
B君:
つまり、ぼくが4歳の時ぐらいからやっているのか。もはや格ゲーマーにとって神聖な場所ですよね。EVO JapanのことをEVOって呼んじゃう日本人プレイヤー多いけど、ちゃんとリスペクトして、正式名称とか、EVOJって呼んであげて欲しい(笑)
鈴木:
テケナー(※1)がバンダイナムコをついナムコって呼んじゃう感じ(笑)
EVO Japanは有名なエピソードも生まれているんです。福岡開催で、アルスラーン=アッシュが優勝したときのパキスタン伝説とか知っていますか?
鈴木:
「パキスタンには俺より強い奴がまだ沢山いる」ってやつね。鉄拳シーンだけじゃなく、ネット界隈を巻き込んで有名になりましたよね。ネット対戦全盛の時代に、まだ知られてない強豪プレイヤーが発掘されたのもオフライン大会だからだったのかな。
B君:
はい。アッシュやパキスタン勢の登場など伝説的なストーリーを作り上げた大会だし、やっぱりぼくはEVO Japanとか、EVOJって区別して呼称することでリスペクトしたいな。
そうそう、EVO Japanは昨年からEWCの予選にもなっていて、上位4人も本戦出場できるというね。参加しない理由がない。
鈴木:
それは重要な大会だ。
B君:
もっと日本からTEKKEN8の参加者、来場者がどんどん増えて欲しいですね。出場するだけじゃなくてTEKKEN SHOPがあったり、推しのプロゲーマーにも会って応援できるから。
鈴木:
実はわたし行ったことないんですよ、EVO Japan。ずっと香港にいるからか、無縁だったんです。今年は会場に応援で行ってみようかなと。
格ゲーブームが来たためか、EVO Japanはここ数年で一般人もお祭りとして行ける場所にもなって、敷居がすごく下がった感じがありますね。限定グッズが買えるなどのファンがたのしめる要素もあるし。
B君:
そうなんですよ。あと実は初回の池袋のサイドトーナメントで、格ゲー同人のサークル参加みたいなのがあったりして。
鈴木:
アメリカのEVOだとコミュニティゾーンみたいなのがありますよね。日本には無いんでしたっけ?格ゲーの隆盛はコミュニティが支えているのだとわたしは思っていまして。だからきちんとルールがあるうえでの同人グッズ販売所とかも出てくると良いのかも。
企業ブースの充実ももちろん嬉しいけど、元々はコミュニティ大会としてスタートしたEVOなので。
B君:
確かに、もし主催者さんさえよければ、安価に参加できる同人ブースやコミュニティゾーンも作って欲しいなぁ。
ややオーバーサイズでおしゃれに着ていただこうかと。
――プロモーション限定イラストが商品になった
鈴木:
ある日、まさかり仁さんから提案を受けたんですよ。過去に行われた公式大会で参加者に配布された、すごくかっこいい鉄拳のノベルティTシャツがあるんだけど商品じゃないから今は手に入らないんだと。これを商品として、もっとテケナーに届けるべきだって。
それはいいね、なんて言っていたら早速まさかり仁さんが企画書を作成して鉄拳プロジェクトさんにプレゼンしたいと(笑)
B君:
そうだったんですね!
鈴木:
わたしたちはそのユーザーが喜ぶものを作るのが一番のポイントだから。コミュニティの為になる商品は絶対にやるべきだ、と意気投合して企画が始まったんですよ。
B君:
ありがたい!
鈴木:
去年の年末にまさかり仁さんとjbstyle.先生たちと忘年会をしたとき、そのコミュニティTシャツの話をしたり、楽しく夢を語り合っていたのですが、年明けすぐに「jbstyle.Tシャツ」の商品企画が進み、トントン拍子に実現化して。まさかり仁さん本当に仕事が早くてびっくりしました。正月も動いてましたよね(笑)
正月返上はイカチィ。早い。EVO Japanに間に合ってよかったですね。
鈴木:
という経緯があって今回、当社はWolfMaker先生のイラストをモチーフにした全キャラTシャツの第2弾も発売するんですが、それと同時にこのアーティストコラボjbstyle.を4点も発売出来ることになったんですよ。
いずれもTシャツのサイズは2サイズ(Lと3XL)で作ってます。Lサイズは170cmの男性でピッタリなんですが、これはぜひ女性用としても手に取っていただきたいです。女性が着るとオーバーサイズ目のゆったりしたおしゃれ着になるんです。
B君:
流行りのオーバーサイズTシャツだから女性もおしゃれに楽しめると。
鈴木:
そうなんです。そして3XLサイズは身長180cmくらいの体格のよい方向け。特に鉄拳ファンがたくさんいる欧米の男性に向けて作りました。
生地の出来栄えもこだわっていて、いずれもコットン100%ボディ。首周りが伸び伸びにならない丈夫な作りにしていて、長く使ってもらえるようにひと手間かけています。
鉄拳というIPのグッズ化
――アーティストコラボ jbstyle.Tシャツの魅力
B君:
ぼくは今回発売のアーティストコラボjbstyle.Tシャツが特に気になっています。というのも、jbstyle.さんのTシャツの事で、外国人プレイヤーから言われたことがあるんですよ。日本の大会に参加しないともらえないから羨ましいって。
鈴木:
jbstyle.先生のウォールアートペイントイラストって、Tシャツのデザインにすごく合いますよね。鉄拳のキャラクターと世界観と相まってめちゃ格好いい。
B君:
公式のハイクオリティCG画像のTシャツもいいけど、jbstyle.さんのイラストTシャツも欲しいし、部屋に飾ったりしたい。イベントに着て行きたくなっちゃう。それが、世界のプレイヤーがカジュアルに買えるようになると思うと素晴らしいですね。
鈴木:
今回のコラボTシャツは、「かわいいアンナ」「飛鳥in大阪」「三島デビルファミリー」に加え、なんと「描きおろしの新イラスト 麗奈」の4種類を商品化出来ることになりました。
鉄拳ファンの皆様にお届け出来るのが本当に楽しみです。
B君:
ぼくはこれを着て大会に参加したいです。
鈴木:
esportsチームのユニホームを着ていただくのも良いのですが、せっかくなので、jbstyle.先生描きおろしの新デザイン「麗奈」TシャツをユニフォームとしてEVO Japanに参加していただいたら、「いいじゃん」としては嬉しいですね。
B君:
いいですね!そうします!!EVO Japanが今から楽しみです!
※1 テケナー・・・鉄拳プレイヤー
⭐️今回の対談でB君選手と鈴木が着ているシャツは2025年の新作商品です。
⭐️お求めは「EVOJAPAN2025」に出店しているTEKKEN SHOP店頭にて!
(前編はこちら)
【前編】 なぜ?グッズクリエイター「いいじゃん」がTEKKEN8プロゲーマーB君選手を応援することに!?
取材・文・撮影/まさかり仁
モデル撮影/中村ユタカ
TEKKEN™8 & ©Bandai Namco Entertainment Inc.
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