第72回:『舞-乙HiME、ムック本・漫画・外伝小説などたくさん展開しました』
「舞-乙HiME」も、「舞-HiME」同様、秋田書店からムック本らしいムック本を発売しました。
各キャラクター設定、あらすじ、スタッフインタビューなどきちんと載っている本です。
ただし、第1巻のみの発売となります。
本の大きさは単行本サイズです。これは、週刊少年チャンピオンで連載している漫画のコミックス単行本と同じサイズなので本棚に並べて欲しいからです。
表紙は、久行(宏和)さんの描き下ろしイラストです。
また、変化球のムック本として一迅社さんから、「オトメグラフ」「オトメグラフプレミアム」「ガルデローベ学園スクープブック」の3冊を発売しました。
これは、宝塚が毎月発売している「宝塚GRAPH」からインスパイアを受けたムック本を企画しました。わたしは、この「宝塚GRAPH」を、2004年から毎月買っています。
文字通り、スター満載の写真集的月刊誌なのです。
推しの男役や娘役の舞台写真やタカラジェンヌの撮り下ろし写真が載っているかと、隅から隅まで読み尽くします。
一迅社木村(晃)編集長とは、「舞-HiME」からの付き合いですが、色々話し合いました。
「舞-HiME」のムック本同様描き下ろしイラストをたくさん描くと言うのは残して、新しい切り口で攻めると言うことで、わたしの提案した「宝塚GRAPH」の方向について、実物の本も見せて、そこで、色々アイデアを出しながら、企画にGoサインが出ました。
さすがに、「舞-乙HiME」では、描き下ろしイラスト満載の月刊誌は無理ですが、ムック本は2冊発売しました。内容は、オトメの普段の姿などアニメ本編では見たことのない絵柄の描き下ろしです。
個性的なローブ姿でポーズしたオトメたち、もしかすると、ヴィントブルームの街にある秘密のお店でブロマイドが売っている気もします。ナオがこっそり撮影したデータを横流ししていそうで、何だかドキドキします。
久行さんや本編に参加してくださったアニメーターさんたちの描き下ろしです。
またかなり変化球の「スクープブック」が第3弾の発売となりました。
ガルデローベの何をスクーブしたのだ?ではありますし、この本に特典として付いていたのがオトメタオルなのもかなり異色ではありますね。
編集さんはもっと攻めた恥ずかしいモノを付けたがっていましたが、大人の事情で止めました。
他に、「舞-HiME」と「舞-乙HiME」など合わせたムック本を数冊発売しました。
そのなかでも、かなり変わったものとして「フィギュアマニアックス 舞-HiME&舞-乙HiME フィギュアスペシャル」メディアワークス刊です。
フィギュア、ガレージキット、ガシャポンなどを集めたムック本なのです。1冊の本になるくらいフィギュア、ガレージキットなどの商品が発売されていたのが驚きとともに嬉しい悲鳴をあげたのは本当のことです。
企画した和久津(慎)さん、1996年あたりからの付き合いではありましたが、さすがに「そのムック本、売れなかったら怖いから、本当にやるの?」と話しました。
すると、大丈夫だからやらせてと欲しい。言われました。
正直、ビクビクしていました。
発売後責められなかったので、安堵しました。さすがに、変化球過ぎな企画に慣れていると言っても。このムック本は勇気のいるものだったと思い出します。
漫画連載で思い出すのは?
「舞-HiME」に続いて、秋田書店「週刊少年チャンピオン」誌面にて毎週連載した「舞-乙HiME」の漫画、なんとマシロちゃんが実は男の子?????でした。
いわゆる、女装して学園(女子校)に来るのです。
アニメ本編とは色々切り口が違うのですが、これが「舞-HiME」からの伝統なのです。
漫画は佐藤(健悦)さんが描いています。全5巻プラス1巻(番外編)だったと思います。
脚本は、樋口(達人)さんと吉野(弘幸)さん。
さらに、阿倍野ちゃこさんが描いた「舞-乙HiME Zwei」のコミック全1巻もあります。チャンピオンREDに連載、こちらの脚本は樋口さんです。佐藤さんの絵のテイストからガラリと可愛い絵柄に変わったのでびっくりした読者さんがいたのではないでしょうか?
小説展開は、「舞-乙HiME」の順当な小説化はやりませんでした。
いわゆるテレビシリーズをまとめた小説をやらず、外伝や切り口がかなり変化球の小説展開ばかり企画しました。
特に、この小説は、「舞-乙HiME」シリーズとしてアリカ・ニナ・マシロたちをベースにしながらも、不思議な展開をしました。
学研さんから発売した妄想プロジェクト「舞-乙HiME if」と言うタイトルの小説はかなり変わった企画でした。
これは、「もし」こんなお話があったら面白いよね、と言わんばかりに、「舞-乙HiME」のキャラクターたちの「もし(if)」を考えて書きました。
小説は、全2巻となります。
小説家は威成一さん。この小説を書いた数年後に還らぬ人になってしまいました。
また、一緒に仕事がしたかったです。
さらに、こんな小説と漫画もありました。
『アリカたちの時代を遡ること約100年前、そのコーラルオトメ「ハザクラ アヤネ」凶暴につきガルデローベに降臨!「妾がそなたのオトメになってやる!」。新たな萌え燃え学園ストーリーの開幕です』と言うメッセージとともに、アニメにはなっていませんが、「舞-乙HiME」ワールドの過去のお話です。
執筆は小説家の沢上(水也)さんです。
外伝のなかの外伝として、書いたのがタイトル「舞‐乙HiME列伝(サガ)~アヤネ降臨♥篇~」、「舞-乙HiME列伝(サガ)~アヤネ飛翔☆篇~」全2巻です。
徳間書店の編集の渡辺さんと沢上さんと、企画の相談をした時に、「舞-乙HiME」の世界観をうまく利用しながら、アニメで描いていない時代を書こうと言うことになりました。
OVA「舞-乙HiME~Zwei」は、テレビ版の物語の少し先の時代のお話です。
同じくOVA「舞-乙HiME~0.sifl」は、アリカのお母さんである伝説のオトメであるレナさんのお話です。
並行して動いている色々な物語や世界観を鑑み、沢上さんに書いてもらう小説の時代は、遥か昔にしたいと言うことで、約100年前の物語になりました。これくらい昔だと、神話にはなりませんが、割合自由度が高いので書きやすいのではないかな?と思ったのもあります。
常に、アニメスタッフに見てもらって、ジャッジしてもらったり、ネタを出してもらうと、スケジュールも押しますので、自由に発想出来るそんなことで100年前を選びました。
本作、主人公アヤネのキャラクターデザインは久行(宏和)さんに描いてもらっています。
さらに、「舞-乙HiME 0〜S.ifr〜」にアヤネが少しですが登場しています。
声優さんはなんとゆかなさんです。と言うことは、マシロ、二三さんに縁があるのか?と考えてしまいますよね。
いやいや「妾」呼びつながりでしょうか。
これも、キャラクタースターシステムの一環となります。
さらに、連動して「電撃G's magazine」に連載した漫画「舞-乙HiME列伝(サガ)竜と乙女の涙」は、橘セブンさんが描いてくれました。
脚本は、徳間書店で刊行した小説家の沢上さんです。
今更ではありますが、まだ読んだことがない「舞-乙HiME」ファンの方がおりましたら、是非読んでもらえると嬉しいです。

古里尚丈(ふるさとなおたけ)
1961年5月3日生まれ。青森県出身。1982年日本アニメーションに制作進行として入社。1985年スタジオ・ジブリ『天空の城ラピュタ』制作進行。1987年サンライズ入社『ミスター味っ子』『勇者シリーズ』等、制作進行・設定制作・制作デスク・APを務め『新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA』からプロデューサー就任。『星方武俠アウトロースター』『GEAR戦士電童』『出撃!マシンロボレスキュー』『舞-HiME』『舞-乙HiME』他、オリジナルアニメーションを14作企画制作。
2011年2月企画会社、株式会社おっどあいくりえいてぃぶを設立。『ファイ・ブレイン~神のパズル』や『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』で企画・プロデューサー。『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』企画協力、『グレンダイザーU』制作統括として参加。現在、ゲーム等参加、新企画を準備中。
コメントを書く
このサイトはhCaptchaによって保護されており、hCaptchaプライバシーポリシーおよび利用規約が適用されます。