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記事: 第18話:『ブーストをかけてSAGAからSINへ……のつもりが?』

第18話:『ブーストをかけてSAGAからSINへ……のつもりが?』

前回も書いたように、「SAGA」の後半の記憶が薄いのです。

と、言うことで「サイバーフォーミュラSAGA」第8巻の納品を終えたタイミングまで時間を飛ばします。

 

当時のアニメ業界には、作品作りが始まる時に「打ち入り」と言うスタッフの顔合わせの会合があります。

「サイバーフォーミュラSAGA」でも打ち入りはやっているはずなのですが、全く記憶がありません。忙しすぎて、記憶が忙殺されたのでしょうか?

それとも、やらなかった?だから記憶にないとか、なんでしょうね。

 

わたしにとって「新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA」の新人プロデューサー業務。

紆余曲折色々ありましたが、やっと最終納品を終えて打ち上げ会をやることになりました。

それは、スタッフへ無事に納品出来たことへの感謝の意、御礼の言葉を伝える会合です。

 

まずは会場探し、協賛メーカー探しなど制作の仕事です。

100人弱のスタッフへ参加・不参加として声をかけます。

スタッフの皆さんから少しだけ参加費は頂くのですが、なるべく低い予算に抑えたいので協賛メーカーさんから協賛金を出してもらうのです。

テレビシリーズと違って、関わるメーカーが少ないOVAですので、結構苦戦した記憶があります。

プレゼントなども用意しました。

ジャンケン大会だったか、ビンゴ大会だったか、なるべく外注スタッフさんたちに、当たると良いなあと思いながら進めました。

会場は、新宿パセラだったような違うような、です。

 

現場スタッフだけでなく、声優さんや音響スタッフさんも参加します。

とても楽しかった会になったと言う記憶が頭の片隅にあるのです。

プロデューサーになって初めての打ち上げですので、心からうれしかったのです。

それは、納品を終えたこと、第8巻まできちんと発売ができたこと、そして、ヒットしたこと。

確かに辛かったことはたくさんあります。

でも、打ち上げでスタッフの笑顔が見ると、疲れが吹っ飛びます。

本当に嬉しいのです。

これって、「終わり良ければ全て良し」ってやつなのでしょうか?

 

ここで、アニメ専門用語コーナー(笑)。パフパフパフ!!

「打ち入り」は、良く漢字間違っていませんか?とばかりに「討ち入り」と書かれることがあります。

確かに、「赤穂浪士」の「四十七士の討ち入り」と同じくアニメ制作に討ち入る(敵を討ち倒すの意)と言った内容なので、微妙に合っている気もしますが、しかし敵って誰?何?ではありますが……。

新人進行時代、先輩に漢字は「打ち入り」であってると教えてもらいました。

 

いつからこの言葉を使っているのか?

誰か、教えてくれないかしら?

色々書いて行くなかで面白いアニメ用語を書いてしまったときに、分かる範囲でお知らせします。

 

「SAGA」が終わり、次の「新世紀GPXサイバーフォーミュラSIN」がいつから動いたのか?終わる前だったのか、終わって少し時間を置いてからだったのか?忘れております。

ただ、バップさんからは次も作ってくれと言ったオーダーは常にありました。

福田さんと両澤さんは新作のアイデア出しから構成に入りました。

わたしは、制作現場として何話数なら作れるのか?を考えました。

そして、導き出したのは5話数でした。

全8話(巻)から、若干減らしたのはクオリティ堅持のためでした。

「SAGA」を作って分かったのは、テレビシリーズと同じような考え方、作り方は違うと言うことです。

 

テレビシリーズは、5〜6ライン分の演出、作画スタッフを集めて固定してグルグル回して作って行くのがあの頃のやり方でした。

これに、近い考え方でやったのが「SAGA」でした。ですが、「SAGA」終わり辺りの話数は続けて同じスタッフで作ると言うやり方が、作品のクオリティ、作品への慣れ、テンポが生まれ、作品作りが出来ていると思ったのです。

と言うことで、「SIN」はほぼ同じメンバーで全5話を作ることにしました。そのための発売スケジュールを組んでいただくようにバップ田村プロデューサーと相談させてもらいました。いわゆる、少数精鋭のスタッフにある程度の時間をかけて作って行く方法にスライドしました。

 

新ストーリーは、「νアスラーダ」に匹敵する新型マシン「凰牙」を出すことになりました。

ハヤトと対等と戦えるマシンが加賀に用意されることの面白さ。

「起承転結」プラスα、5話数の物語の分かりやすさ。

加賀とハヤトの対決の分かりやすさ。

ヒロインたちのドラマ。

男と女の恋愛劇。

と、女性ファンのみならず男性ファンにも訴求出来るシンプルでありながらも、加賀とハヤトの因縁の対決はそれこそ燃える展開となります。

 

プロデューサーとして、ファンの男女比の変化に適応するにはちょうど良いプロットに思えました。

 

さて、「サイバーフォーミュラSIN」のことは、一生懸命思い出して後日改めて書きたいと思います。

 

次回は、時間を遡って、【スタジオジブリ時代】を少し書きたいと思いますが、けっこう忘れております故、どこまで思い出せるのか?です。

ですので、サクッと終わる可能性が大ですが、頑張ります。

 

 

 

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🔻ふるさとP写真録:今週の一枚 

 

古里尚丈(ふるさとなおたけ)

1961年5月3日生まれ。青森県出身。

1982年日本アニメーションに制作進行として入社。1985年スタジオ・ジブリ『天空の城ラピュタ』制作進行。1987年サンライズ入社『ミスター味っ子』『勇者シリーズ』等、制作進行・設定制作・制作デスク・APを務め『新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA』からプロデューサー就任。『星方武俠アウトロースター』『GEAR戦士電童』『出撃!マシンロボレスキュー』『舞-HiME』『舞-乙HiME』他、オリジナルアニメーションを14作企画制作。

2011年2月企画会社、株式会社おっどあいくりえいてぃぶを設立。『ファイ・ブレイン~神のパズル』や『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』で企画・プロデューサー。『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』企画協力、『グレンダイザーU』アソシエイトプロデューサーとして参加。現在、ゲーム等参加、新企画を準備中。

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