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記事: 第44回:『GEAR戦士電童、デジタルウェポンに想定外の事件発生!!』

第44回:『GEAR戦士電童、デジタルウェポンに想定外の事件発生!!』

放送後、少しだけ経ったある日。

データウェポンのなか、ユニコーンドリル、レオーサークル、ドラゴンフレアの正常進化版として、新型のメカデザインの開発をしていたのですが、中止になってしまいました。

 

理由は明快。データウェポンの売れ行きがあまりよろしくなったからです。

玩具連動型のアニメの宿命です。

 

売れ行きがよければ、どんどんメカが増えていきます。

売れ行きが悪いと、どんどんメカが減っていきます。

 

ということで、ユニコーンドリルとレオサークルの合体バージョンとして生まれた「超獣王輝刃」という新型を出すことに決定しました。

そこで、アニメのプロットも急遽修正をし、どのように生まれるのが良いのか?の検討にはいります。

しかし、阿久津さんがすでにたくさんメカデザインを描いていましたので、それらを起用出来なくなったのはとても痛かったです。

 

でも、新規で合体バージョンの輝刃を描いてもらうしかありませんので、着手してもらいました。

 

制作現場は、兎にも角にもシナリオの開発です。

玩具連動型のオリジナルアニメの宿命です。

色々起きる現実を反映して、物語は変貌していきます。

 

これら状況がひとつの種となり、それを受け取り福田監督がアイデアを出して、両澤さんが構成メモを書いていきます。

 

そして、ユニコーンドリルとレオサークルがウィルスに侵されて死んで行くネタが生まれました。

さらに、第15話からデータウェポン強化月間に入ります。

データウェポンのライバルと言うか凶悪な敵を出すことになりました。

その名は「ラゴウ」。

ラゴウによってユニコーンドリルとレオサークルの消滅させられるなか、涙の復活「超獣王輝刃」の誕生となりました。

銀河と北斗の悲痛な叫びが宇宙にこだまし、地球の新型メカを取り込んで大復活と言うことで、ストーリーと新型メカの登場をリンクさせます。

 

わたしは、勇者シリーズで、例えば「キングエクスカイザー」が壊されて「ドラゴンカイザー」の登場。さらに、キングエクスカイザーとドラゴンカイザーの合体版「グレートエクスカイザー」になる。そして、新型武器として「カイザソード」がでかくなり敵ロボを倒すまでを、エクスカイザーからゴルドランまで経験しています。

ある意味、このパターンは、王道のひとつとして、次の「激闘!クラッシュギアターボ」でもやりました。

 

いわゆる玩具メーカーが発売する玩具との連動するアニメと言う意味では、わたしは何度も経験し、それが、なんと、最近ですと、「カードファイト!! ヴァンガード Divinez」のシーズン2から構成協力で参加させてもらってかなり似た経験を享受しています。

カードゲームも、かなり玩具連動型のアニメ作りと似ています。

商品として、カードがいつ発売するのか?どんなカードなのか?など、色々知らないとアニメストーリーのなかにうまく入れ込めないです。

 

「クロスアンジュ~天使と竜の輪舞」も「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」も、最初のオーダーは、声優さんをフューチャーしたい!から始まっています。

そうなると、水樹奈々さんや三森すずこさん、この声優さんのことを知ることから始めます。

声優さんの持ち味とオリジナルストーリーを合わせてアイデアを考えていき、色々メモを書いて発注元に出して行くことになります。

 

「クロスアンジュ~天使と竜の輪舞」でも、5種類くらいの企画アイデアメモを出しましたね。「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」も10種類くらいのメモを出したと思います。

これら細かいことは、今後書きたいと思います。

 

つまり、これらは、玩具であったりカードであったりと発注元の一番メインのオーダーを、わたしが咀嚼してライターや監督に説明し、企画メモを書いてもらうのです。

また一番大切なメインターゲットが、この玩具が欲しいと思ってもらえるような魅力的に見えるかたちで物語に落とし込みます。

 

当然、ターゲットの研究や市場調査を行います。

プロデューサーが一番やらなければいけないことは、どんなアニメを作るのか?

物語は?

キャラクターは?

誰に向けて作るのか?などを、分かりやすく、すぐに伝わるような、シンプルで短い言葉を見つけないといけません。

そして、ちょっとだけメッセージを入れます。これが、スパイスになります。

 

電童は説明にちょっと難しいアニメだった記憶があります。

玩具とターゲット。

ターゲットとアニメ。

玩具とアニメ、と、いくつかのピースがチグハグだった気がしてなりません。

あの時代、すでにポケモン、デジモンの時代でしたし、巨大ロボットの玩具で行くなら、ターゲットは幼稚園までで、ギリギリ小学2年生くらいまでだったとも思います。

小学校3年生から5年生くらいをターゲットにしたいと言われて悩んだ記憶があります。

それなら、コマ系、カードゲームやミニ四駆系の商品、いわゆる子供たちのポケットに入る物であり、ワンコインで自分が買える物ではないのか?と思ったのです。電童の商品は価格的に親、祖父・祖母に買ってもらないといけないのです……。

 

と言うことで、次のテレビシリーズが、コマとミニ四駆モチーフの「激闘!クラッシュギアターボ」になるのです。

 

つまり、とてもやりたい子供向けのアニメだったのですが、商品ありきのアニメ化でもあり、

悩み多き作品でもありました。

正直、商品の売上は良くなかったのは事実です。

 

やはり思うのは、プロデューサーとして、わたしのハンドリングが下手くそだったと言うことにつきます。

プロデューサーの仕事は、良いアニメを作るだけではありません。

クライアントにリターンできるようにしないと駄目です。

ヒットしないと駄目なのです。

 

当時も、いまも、もっとうまくやれたのではないか?と考えます。

 

でも、「GEAR戦士電童」がないと、次の「激闘!クラッシュギアターボ」はないし、「舞-HiME」もありません。

 

わたしは、ヒットすると、どうしてヒット出来たのか?を考えます。

めちゃくちゃ考えます。

そして、ヒットできなかったときは、その理由を必死になって考えます。

理由を書き出すと、落ち込むこともありますが、考えます。

その理由のなかから、いくつか抜き出して、その反対なことをやるとヒットできる可能性があるのでは?と考えます。

 

特にわたしは、クリエイターではないので、理由を書き出して、そのなかから色々なヒントを探して次のアニメに反映させていきます。

 

実際、そうやって考えて作ったアニメが、「激闘!クラッシュギアターボ」です。

「激闘!クラッシュギアターボ」では、常に放課後であり、日曜日や夏休みにし、授業風景は1回くらいしかやっていません。

子供たちにとって夢の空間を作り出すことを徹底しました。

そして、4人の仲間を作りました。他にもいくつか要素があるのですが、それは「激闘!クラッシュギアターボ」のときに書きますのでお楽しみに。

 

 

さて、失敗して落ち込んでも仕方がないので、なるべく早めに復活して、前に進まないといけないと思うし、当時ありがたいことに次のやるべき仕事があることが幸いでした。

 

わたしは、運が良いことに、プロデューサーになってから、常に2年先くらいまで仕事が決まっていました。

ほぼ、毎年1作アニメを制作し、放送などやっていましたので恵まれた環境にいたなと思います。だからこそ、次に成功も課題も繰越して反映させていくことができました。

 

と言うことで、色々なスタイルのアニメを企画、制作できたのも幸せでした。

 

 

 

🔻ふるさとP写真録:今週の一枚 

 

追伸:

YOUTUBE「ふるさとPアニメ道」もスタートしましたので、ぜひぜひチャンネル登録の上、ご覧くださいませ。

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古里尚丈(ふるさとなおたけ)

196153日生まれ。青森県出身。

1982年日本アニメーションに制作進行として入社。1985年スタジオ・ジブリ『天空の城ラピュタ』制作進行。1987年サンライズ入社『ミスター味っ子』『勇者シリーズ』等、制作進行・設定制作・制作デスク・APを務め『新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA』からプロデューサー就任。『星方武俠アウトロースター』『GEAR戦士電童』『出撃!マシンロボレスキュー』『舞-HiME』『舞-HiME』他、オリジナルアニメーションを14作企画制作。

20112月企画会社、株式会社おっどあいくりえいてぃぶを設立。『ファイ・ブレイン~神のパズル』や『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』で企画・プロデューサー。『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』企画協力、『グレンダイザーU』制作統括として参加。現在、ゲーム等参加、新企画を準備中。

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