第45回:『GEAR戦士電童、最終回を迎えてプチ旅行&イベントがありました』
2000年6月27日最終回を迎えて、恒例の打ち上げも無事に終えました。
次は「GEAR戦士電童終了記念」のプチ旅行です。
バンダイビジュアル、ビクター、そして、声優さんたちも交えての旅行です。
伊豆だったと思います。
わたしは、自家用車で行きました。
電車で行った方、車で行った方とそれぞれがホテル集合だったと思います。
1泊2日。
福田監督、国崎プロデューサー、藤野音響監督たちも参加してくださいま。
夕方以降、夜に声優さんたちもたくさん駆けつけてきてくれました。
銀河と北斗くんは当然のごとくで、ベガさんもアルテアさんも来てくださったと思います。
食事タイムに間に合った方々には、それぞれ挨拶してもらいました。
遅くなった方には、まずは温泉に入って疲れを取ってもらいました。
我々スタッフも温泉を堪能しました。
声優さんたちと夜中まで色々お話したと思うのですが、正直何を話したのか?忘れております。覚えていたらここに書けたのですが、残念です。
でも、アフレコ時だとどうしても仕事にからむお話が中心になるので、仕事からちょっと離れて趣味の話だったり、自分の相手も距離感がより近づくために与太話などできるのはありがたいのです。
多分写真も撮ったと思うのですが、いまと違ってフィルムカメラなのですぐに手元確認できません。
忙しい人が多いので、朝早く東京に戻ってアフレコに向かう声優さんや仕事に向かうスタッフがいました。
わたしは、朝早い方々をお見送りし、朝9時くらいにホテルを出て、観光地を寄りつつ、帰宅しました。
ふと思うのです。
作品終了後の旅行、スタジオ旅行など、記憶では、「新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA」の終わった後もバス旅行があった気がします。
どこに、行ったのか?すでに忘れてますが、どれかの作品のときに明治村に行った記憶があります。
「ミスター味っ子」、「勇者シリーズ」の時代には、作品ごとでなくスタジオ旅行がありました。伊豆だったり、スキー旅行だったり、です。川遊びもあったり、伊豆大島にも行った記憶もありますね。船で行ったのですが、島に着いてからもレンタカーを借りて観光しました。
日本アニメーション時代もバス旅行がありました。
でも、2000年代中盤以降、これら記憶も上書きされず、改めてスタジオ旅行、作品終了旅行がなくなってしまったなと今更ですが思うのです。
時代の流れもあって、会社関係のみんなと一緒に旅行するのはナンセンスになったのかも知れません。あるいは、やりたいと手を挙げてセッティングする人材がいなくなったのかも知れませんね。
わたしもデスク時代、バス旅行会社のスタッフさんと打ち合わせして、行く先、予算など決めて、参加者から徴収しました。当時のサンライズは、補助金が出たので想定の半額くらいの予算で行けましたね。
これも、ひとつの企画から運営なのでプロデューサー業の勉強になりました。
そしてそして、ファンと一緒にやったイベントのことを書きます。
「GEAR戦士電童」最終回の後約3ヶ月後、2000年9月に向けて、電童ファンを呼んでスタッフたちによる裏話トークイベント企画を考えました。
これは、バンダイビジュアル「GEAR戦士電童」最終巻のDVD発売に向けての宣伝の一環でした。
場所は、千葉県松戸市にあった芸能事務所の「ミューラス」内にある「ミューラスアクターズスクール」というレッスンスタジオです。そこは駅からも近く、また思った以上に広く、レッスンだけでなく、お客様を入れてステージで歌やダンスの披露もできるホールなのです。
「ミューラス」はバンダイのグループ企業「バンプレスト」の子会社でした。「ミューラスアクターズスクール」というレッスンスタジオを併設し、タレント・声優・ダンサーの育成及びマネージメントを行っていましたが、2001年9月末で解散となりました。
そのギリギリの9月に、レッスンスタジオを借りたのです。
ちなみに、ミューラス出身の声優さんもいます。
電童本編、銀河くんが応援していたアイドルグループ「C-DRiVE」。
歌を担当した通称「歌ドライブ」の3人も「ミューラスアクターズスクール」でレッスンを受けていました。
また、「C-DRiVE」のオーディションをこのミューラスアクターズスクールで行ったのです。と言う縁もあって、このホールを借りることとなりました。
インターネットでイベントのことを発表し、お客様にアピールしました。
チケットを買ってもらう訳ではないので、イベント当日、お客様が集まるのか?とドキドキしていました。
蓋をあけるとありがたいことに、170~180名集まりました。
さて、当日朝、サンライズ側のスタッフ、バンダイビジュアルのスタッフ、手伝ってくれる関係者15名ほど松戸に集まりました。
そして、それぞれが得意分野を踏まえて役割分担しました。
階段の壁にポスターを貼る人、すでに、並び始めたお客様には、ナンバーを書き込んだ用紙を渡して、開始時間に改めて来てくださいと伝えます。
そして、一番問題は、レッスンスタジオです。
鍵をあけて室内に入りますと、ガラーンとしたホールが目の前の広がります。
さて、掃除してパイプ椅子を並べなければと考えます。そこで、アチラコチラを見渡すと、あるゾーンに目が止まります。
そこには、アンプ、CDプレーや、DVDプレーヤー、ビデオデッキ、大きなスピーカーが数台、照明、マイクスタンド、ミキサー、プロジェクターから各コードが全て取り外されているのです。
「え?!」
「全ての機材がバラバラになっている」
「前来たときは、きちんとつながっていたのに」
そうなのです。
解散を発表していた「ミューラス」ですから、綺麗に片付けをしていたのです。
困ったことに、我々スタッフにはライブ慣れしているスタッフは誰もいません。
わたしは、割合オーディオやカメラ関係は知っている方なので、各機材を並べて、各コードをつなぐこととしました。
他にも、得意そうなスタッフさんが、僕も手伝います、と言わんばかりに行動してくれました。その方々に、イベントの内容を伝えて、プロジェクターの設置から、用意した「GEAR戦士電童」最終回を焼いたDVDをプレーヤーに入れて試験的に映像を流します。
ステージも出来上がってきましたので、そこにマイクスタンドも立てて、照明も当ててみます。アンプを通して、スピーカーへ音が出るのか確かめます。
1時間ほどしてかたちになってきました。
そこに、ゲスト登壇者、北斗役の進藤(尚美)さんが会場入りです。
さらに、ライブパートで2曲歌う「C-DRiVE」の歌ドライブの3人も会場にきました。
稽古も兼ねて、カラオケを流して3人に歌ってもらいます。
音量、照明のチェック。また、3人はダンスをしながら、振りを確認しています。
トークコーナーとして、進藤さんにもマイクテスト込みで話してもらいます。
これをゲネプロと言うなら、ゲネをやったこととなります。
音響、映像装置などが設置できたので、みんなでパイプ椅子を並べることになります。
150人くらい来るだろうと予測して並べました。
実際は、170~180人になったので途中からパイプ椅子を増やしました。
わたしは、進藤さんと「C-DRiVE」の3人をアテンドと言うか、控え室に連れていき、食事タイムをとったりしました。
また、わたし自身が書いてきたメモを進藤さんに渡します。
それは、イベント開幕前の館内放送のための原稿なのです。
いわゆる、録音、撮影はだめですよ!と言う告知の影ナレ(影でやるナレーション)ですね。
これを、北斗らしい言い方の内容で文章を書いてきたのです。
進藤さんは、少し練習して望みます。
お昼すぎ、イベント開始時間が近づきます。
各スタッフがお客様を誘導し、素人集団がやっていることなのでバタバタではありましたが、ホール内がお客様でいっぱいになりました。
開始手前、進藤さんの影ナレ開始です。
ホールに響く北斗の声、ついにイベントの開幕です。
室内のライトが消えて、ガヤガヤしていたお客様の声を静まっていきます。
お客様の目の前にあるステージには大きめのスクリーンが張ってあります。
そのスクリーンに、電童最終回が映し出されます。
最終回には特典映像がついていたと思うので、その映像を見て歓声が上がりました。
食い入るように観てくれるお客様。
ついに、最後のシーン、エンディングが流れてきます。
最終回の映写は終わりました。
そして、ホール内に流れるイントロ。
ステージのスクリーンが天井にスルスルと巻き込まれて、照明がポンポンと点きます。
ステージに待機していた「C-DRiVE」のミキ・サキ・ユキの3人が歌い始めます。
ぶっ続けで2曲、ダンスしながら歌いました。
「C-DRiVE」の歌ドライブの少女は、「GEAR戦士電童」の特別サイトで写真を発表したりしていますが、歌って踊る3人を観るのは初めてなので、拍手がもらえるのか?心配でしたが、きちんと大きな拍手をいただかけました。本当に優しいお客様です。感謝します。
「C-DRiVE」の歌が始まった頃、ビクターの音楽プロデューサーの野崎さん登場。
音を聞いて、すぐにミキサー室に入り、音量をググっと上げたのです。
ゲネの段階ではお客様がおりません。しかし、本番ではしっかりとお客様がいますので、音を吸い取るのです。
そうなのです。人間が洋服が音を吸うことで、減衰するのです。
素人集団でしたので、音の減衰を知らずにいたのです。
野崎さんは、音量が低いとすぐに気がついて修正をしてくれたのです。
本当に、ありがとうございました。
歌が終わり、次のコーナーとして、北斗役進藤さんをステージに呼び込みます。
進藤さんのトークタイムです。
アフレコ裏話が終わると、わたしが、客席にいる制作現場のスタッフを呼び込みます。
いわゆる、福田監督などステージに呼んで制作裏話タイムです。
お客様から質問をもらって、答えるとか、用意したポスタープレゼントなどお客様にお渡しするじゃんけん大会をやった気がします。
そして、色々トラブルはありましたが、何とか無事に終えました。
お客様の表情を見ても、皆さん笑顔でした。
無料イベントと言っても、遠くから来てくださっている人もいます。
一番遠くから来た方は、北海道だったかなと思います。いやはや、びっくりです。
イベントに参加したファンの皆様が喜んで帰ってもらえることを念頭に置いて企画しました。実は、わたし初めて挑戦でした。イベントの内容も、スケジュールも諸々わたしが考えて、各所にお願いしたので、色々ドキドキだったことを思い出します。
兎にも角にも手作り満載のイベントをやりました。
ただ、このイベントをやったことで、後に様々なイベント開催時に応用できました。
わたしは、この頃からミュージカルなどの舞台を良く観劇するようになりました。
お客さん目線ではありますが、色々興味を持って見ていたことが役に立ったイベントではありました。
🔻ふるさとP写真録:今週の一枚

追伸:
YOUTUBE「ふるさとPアニメ道」もスタートしましたので、ぜひぜひチャンネル登録の上、ご覧くださいませ。
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古里尚丈(ふるさとなおたけ)
1961年5月3日生まれ。青森県出身。
1982年日本アニメーションに制作進行として入社。1985年スタジオ・ジブリ『天空の城ラピュタ』制作進行。1987年サンライズ入社『ミスター味っ子』『勇者シリーズ』等、制作進行・設定制作・制作デスク・APを務め『新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA』からプロデューサー就任。『星方武俠アウトロースター』『GEAR戦士電童』『出撃!マシンロボレスキュー』『舞-HiME』『舞-乙HiME』他、オリジナルアニメーションを14作企画制作。
2011年2月企画会社、株式会社おっどあいくりえいてぃぶを設立。『ファイ・ブレイン~神のパズル』や『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』で企画・プロデューサー。『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』企画協力、『グレンダイザーU』制作統括として参加。現在、ゲーム等参加、新企画を準備中。
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