第46回:『いのまたむつみさん、たくさんのキャラデザインありがとう』
アニメ・ゲームのキャラクターデザイン、小説などのイラストなど、美麗で繊細なタッチの絵(イラスト)を描く「いのまたむつみ」さんが、昨年3月10日に天に召されて1年になります。
わたしは、昨年夏のYouTube動画「ふるさとPアニメ道」、そして、今回第44・45回目のYouTube動画でもいのまた(むつみ)さんのことを思い出してお話をしました。
ブログ原稿では、初めてとなりますが、いのまたさんのことを少しだけ思い出して書いてみたいと思います。
わたしは、1995年「新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA」が動き出したとき、キャラクターデザインを一新すると言う流れになって、いのまたさんに会うこととなりました。
とある喫茶店であったことは、前のブログでも書いたと思います。
それが、わたしが33歳のときです。
あっという間に30年の年月が経ちました。
いのまた家に「新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA」のキャラクターデザインの上がりを受け取りに行ったことを思い出します。
そこで、待っているあいだ猫ちゃんと遊んでいたわたし。
いのまたさんとの会話で、「わたしね、お嫁さんが欲しいの」って。
「はい?」
「……なんじゃそりゃー!!」ってなりましたよ。
でも、会って間もない頃ですから、色々突っ込めなかったのです。
いまなら、きちんとツッコミするんですが……、残念。
しかし、なんでこのセリフになったんだろう?詳細は思い出せません。
「新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA・SIN」の他、「舞-HiME」の制服デザイン、そして、弊社の企画のために様々なラフを描いてもらいました。
起業後、リアル打ち合わせ、電話打ち合わせなど色々思い出しますが……。
特に印象的なのは、とあるファミレスまで自転車で来てくださり、そこで打ち合わせしたことです。わたしは車で動くので、いのまたさんのご自宅の近くで喫茶店ありませんか?と問いかけると、あっさり「ない」と。
少し考えたあと、有名なファミレス名が出てきました。
車で良く通る場所にあるファミレスです。
「はい、そこは知っています」と答えるわたし。
でもそこって、歩いていける距離ではないと思ったので「どうやって移動するんですか?」とたずねると、「うん、自転車で行きますよ」の返事がきました。
すごいアクティブ!!
弊社事務所が上石神井駅そばにあった頃。
わたしの事務所まで自転車で来たことも思い出します。
颯爽とやってきたいのまたさん、事務所のドア横に自転車を停めます。
「疲れたでしょ?」と聞くと「ぜんぜん」「近い近い」とニコニコ笑顔で答えてくれました。
いやいや、いのまたさんのお家を知っているわたしとしては、自転車でもそれなりの時間がかかることを理解しているので、「近くないし」と思うばかりです。
改めて思い出します。
いのまたさんに参加してもらった様々な企画のなか。
ここでは発表出来ないとある企画のためのキャラクターデザインもあります。
これはプロットは全話数あり、シナリオも4話くらいまであります。
メカニカルデザインもけっこうあるし、美術設定も30枚くらいありました。
これは、世の中に出したかったでのすが、色々な事情で企画が頓挫しました。
この手の話は、アニメ業界では良くある話なので驚かないのですが、でも、自分が絡んでいる作品では初めてだったので、やはり悲しかったです。
あと、わたしのオリジナル企画のための絵も描いてもらいました。
3月1日10時配信のYouTube動画でちら見せしましたが、いのまたさんに描いてもらった「天使ちゃん」は可愛いです。
そして、他にも幾つかあるので、お見せ出来るタイミングが生まれたら出していきたいと思っています。
そして、いのまたさんとリモート打ち合わせと言う名の電話打ち合わせでは、必要な話が終わると必ず猫ちゃんの話になります。
いのまたさんは本当に猫好きで、最後に飼っていた猫ちゃんが病気だったのですが、めげずにお世話をしていました。
わたしも、猫を2匹飼っていたし、その2匹ともに最期は病気を患っていたので色々お話は合います。
そこで、わたしが新しいオリジナル企画として、猫を題材にした企画を話したことがあります。
すぐに、iPadにラフを描いて、それをデータにしてメールorラインに添付ではなく、物理的にiPadで描いた絵をスマホで写真を撮ってラインに添付すると言う、超アナログでやり取りをするのです。
そのラフを見たわたしは、「めちゃ良いので、この方向で設定をお願いしますね」と言ったのですが、これが2023年の秋から冬にかけての話。
叶わぬこととなりました。
その企画は、虹の橋を渡ったさきにある猫の国と言うのか、猫の島と言うのか、猫たちの住まいエリアを作って、そこには歌って踊る猫ちゃんたちがいるのです。
いのまたさんが書く魅力的な猫ちゃんたちが集う、そんな企画だったのですが、夢に終わりました。
実は、昨年2月28日にとある企画のために、ファミレスでリアル打ち合わせをしました。
3時間くらいやったかなと思います。
わたしの他に、とあるメーカーの偉い人と合わせて計3名で色々話し合いました。
実際、コロナになってから、リアル打ち合わせが減って電話打ち合わせが多くなっていたので、楽しかったんです。
めちゃ前向きに、おふたりがお話していたことを記憶しています。
わたしも数年ぶりに会えたので楽しく打ち合わせをしました。
でも、その数日後、天に旅立ったのです。
才能のかたまりだよ、いのまたさん。ちょっと天然が入っている思うけどそこもまたいのまたさんだなって思うんです。
いまは、猫ちゃんと一緒に遊んでいるんだよね。
改めて、わたしがいのまたむつみさんを知ったのは、葦プロ時代のアニメ「宇宙の戦士バルディオス」や「戦国魔神ゴーショーグン」などの作画監督の絵を見たときからです。
小説のイラストだとやはり「宇宙皇子」でしょう。
とっても好きな絵柄でした。
自分が若い頃に見たわけですが、10代後半、20代前半で開花している才能、いやはやです。
わたしから見て、めちゃくちゃ年上だと思っていましたが、1歳年上のお姉さんでした。
それを知ったとき、とてもとても驚いたことを覚えています。
わたし、その頃日本アニメーションやジブリで制作進行です。
何者にもなれていなかった頃です。
33歳のときのお会いし、色々話が出来て、絵を描いてもらえるなって思ってもいなかったわけです。
可能なら、20代の自分に教えてやりたいです。
一緒にお仕事できて、嬉しかった。
家内とも色々話をしてくれて、ありがとう。
家内もいのまたさんの絵が大好きなのです。
ちなみに、家内はいのまたさんが描いた猫展のイラスト原画を持っています。とあるタイミングに「この黒猫は良い」って買い求めたです。
その絵は、家内の部屋にしっかりと飾っています。
いまは、わたしの手元に残ったいのまたさんが描いてくれたラフデザインを種として、そこから何かしら芽を出して、育てることができないかなって考えています。
いまさらですが、猫たちが集うエリアを作りたいな!!
🔻ふるさとP写真録:今週の一枚

追伸:
YOUTUBE「ふるさとPアニメ道」もスタートしましたので、ぜひぜひチャンネル登録の上、ご覧くださいませ。
🔻リンクはこちら
HTTPS://WWW.YOUTUBE.COM/CHANNEL/UC_JRVVLJSFUHGMXPCVYUQ5A
古里尚丈(ふるさとなおたけ)
1961年5月3日生まれ。青森県出身。
1982年日本アニメーションに制作進行として入社。1985年スタジオ・ジブリ『天空の城ラピュタ』制作進行。1987年サンライズ入社『ミスター味っ子』『勇者シリーズ』等、制作進行・設定制作・制作デスク・APを務め『新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA』からプロデューサー就任。『星方武俠アウトロースター』『GEAR戦士電童』『出撃!マシンロボレスキュー』『舞-HiME』『舞-乙HiME』他、オリジナルアニメーションを14作企画制作。
2011年2月企画会社、株式会社おっどあいくりえいてぃぶを設立。『ファイ・ブレイン~神のパズル』や『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』で企画・プロデューサー。『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』企画協力、『グレンダイザーU』制作統括として参加。現在、ゲーム等参加、新企画を準備中。
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