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記事: 第47回:『クロスアンジュ、新企画を考えて!のオーダーをいただきました』

第47回:『クロスアンジュ、新企画を考えて!のオーダーをいただきました』

2010年秋。

この時期は、ちょうどわたしが起業することで各方面にご挨拶に動いていた頃になります。

 

次年度20111月末サンライズを退社し、20112月頭に株式会社おっどあいくりえいてぃぶを起ち上げるそんなスケジュールが見えて来た時期、それまでにお世話になった会社や方々にご挨拶とともに起業の理由など詳細な説明をしている時期でした。

 

サンライズの内田(健二)社長に呼ばれました。

 

そこで、開口一番「キングレコード大月さんが、舞-HiMEみたいなオリジナルロボットアニメを作りたい!」との提案を受けたと、教えてもらいました。

そして、「舞-HiME」みたいな、と言うことならズバリ古里に企画を考えてもらおうとなった!とのことです。

 

わたしは、ロボットアニメはやれるのは嬉しいし、有り難いので、その場で「やらせてください」と答えました。

 

改めて、内田社長は、大月さんが出した幾つかの要件を話し出しました。

まず、「舞-HiME」みたいな女の子がたくさん出る、そしてオリジナルロボットアニメ。

次は、主人公は声優の「水樹奈々」さん。

大きくは、この3点をクリアした企画の開発です。

 

まず企画を考える前にわたしは声優である「水樹奈々」さんのことを調べました。

声も聞きました。歌も聞きました。

 

ここで、わたしは、「勇者シリーズ」や「GEAR戦士電童」、「激闘!クラッシュギアターボ」などの玩具連動型アニメの企画の建て方の応用で行けるのではないか?と考えました。

 

つまり、玩具にあたる要素として、中心にあるのは「水樹奈々」さんであること。

となると、水樹奈々さんをフューチャーし魅力を押し出していくことが必須です。

 

いわゆる、「水樹奈々」さんを主役に据えて、ロボットアニメとして面白い物語の企画を考えることとしました。

 

水樹さんのことを調べていくと、けっこうな苦労人だということが分かりました。

子供の頃はお父様の夢である歌手に、そして「演歌の星」を目指していたことも知りました。

さらに「のど自慢大会あらし」だったと言うことも知ります。

つまり、幼い頃から歌が上手であり、あちらこちらののど自慢大会で勝っていたと言うことです。

 

そして、中学校時代に芸能事務所から声がかかり、東京に上京します。

そこから、歌や声優へ真摯に立ち向かいその挑戦を合わせて、声優業へ軸足が変わっていきます。2000年代前半、声優アイドル時代?がやってきます。「舞-HiME」の頃、萌え系アニメが増えて、声優さんたちが歌を歌うなどがマストになっていたように記憶しています。

 

「演歌の星」を目指していた少女が、「声優の星」をつかんでいくんです。

このことを知ると、より「水樹奈々」さんの魅力が倍増します。

 

と言うことで、「水樹奈々」さんの歩んだ歴史をひとつの物語としてロボットも出せる世界観に置き換えてみる企画を考えることとしました。

 

数名のライターや企画マンに声をかけました。

そして、2週間くらいのスケジュールで、5本ほどの企画案のメモを書いてもらいました。

 

企画アイデアメモが出来たので、内田社長に連絡をして、キングレコード大月さんに提出したいと伝えました。そこで、後日、キングレコードに行くこととなりました。

わたしと内田社長のふたりで、キングレコードに伺いました。

そして、印刷したメモを大月さんに渡しました。

すると「今日は、アニメ部門を見ている三嶋を紹介したい」とのことです。

三嶋(章夫)さんと名刺交換をしました。

大月さんは「三嶋が読んで気に入ったものでアニメ化をする」と話すのです。

いきなりの展開で、わたしは唖然です。

三嶋さんはメモを読み始めます。

 

わたしは、軽くプレゼンし、お渡ししたメモのなかで◯案の内容が一押しです、と、伝えました。

 

「全てを持った王女が、そのすべてを剥奪された!しかし、気高い精神は失っていなかった!をコンセプトに、世界を変える天使の物語」です。

 

すると、三嶋さんも「わたしもこの◯案が面白いと思います」と話してくださいました。

大月さんは「それで進めてくれ」と、内田社長に話します。

 

わたしは、三嶋さんの顔を見て、本当に大丈夫ですか?と表情で訴えるのですが、三嶋さんはニコニコしながら、はい、これで、と言うのです。

 

そのメモこそ、ライターの樋口(達人)さんの書いた物語なのです。

わたしとは、「舞-HiME」のコミックの脚本を書いてもらい、「舞-HiME0.sifl」のシナリオを書いてもらいました。

「宇宙をかける少女」のシリーズ構成・シナリオを書いてもらっているライターです。

樋口さんとわたしの関係は、2000年「激闘!クラッシュギアターボ」で文芸を担当してもらっているので、以降の長い付き合いとなります。

 

ですから、わたしは樋口さんの個性、得意分野なども知っていますので、キングレコードさんのアイデアを書いてもらったのです。

 

実際に、制作が動き出すには時間がかかりましたが、その間に企画書を作成しました。

ロボットデザインやキャラのラフデザインも作りました。でも、それは、テレビアニメになったものとは全く違うデザインです。

 

オリジナルアニメは、放送までデザインも変わるし、物語も二転三転することがあります。

監督、キャラクターデザイナー、各話シナリオライター、メカデザイナーなどメインスタッフが加わることで、どんどん変化していくのです。

 

「クロスアンジュ~天使と竜の輪舞」も変化をしています。

捨てたアイデアもありますし、捨てたメカデザインもあります。

 

 

2010年秋に企画が始まった「クロスアンジュ」は、201410月に放送となりました。

オリジナルアニメは本当に大変だと身にしみたアニメでした。

また、わたしが中心に動かす制作ではなく、実際の現場には制作プロデューサーが立ちます。

そのバランスも踏まえて、自分の仕事を調整しながら進めました。

 

わたしとしては、先に「ファイ・ブレイン~神のパズル」がありましたので、現場の制作プロデューサーとわたしとの仕事の役割を模索しました。

わたしが、サンライズを退職し起業後のアニメ2本は、常に模索ばかりだったと今更に思い出します。

 

と言うことで、「クロスアンジュ~天使と竜の輪舞」を思い出して、書いて行こうと思います。

 

 

🔻ふるさとP写真録:今週の一枚 

 

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古里尚丈(ふるさとなおたけ)

196153日生まれ。青森県出身。

1982年日本アニメーションに制作進行として入社。1985年スタジオ・ジブリ『天空の城ラピュタ』制作進行。1987年サンライズ入社『ミスター味っ子』『勇者シリーズ』等、制作進行・設定制作・制作デスク・APを務め『新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA』からプロデューサー就任。『星方武俠アウトロースター』『GEAR戦士電童』『出撃!マシンロボレスキュー』『舞-HiME』『舞-HiME』他、オリジナルアニメーションを14作企画制作。

20112月企画会社、株式会社おっどあいくりえいてぃぶを設立。『ファイ・ブレイン~神のパズル』や『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』で企画・プロデューサー。『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』企画協力、『グレンダイザーU』制作統括として参加。現在、ゲーム等参加、新企画を準備中。

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