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記事: 第51回:『クロスアンジュ、音楽のこと作曲家のことを書きます』

第51回:『クロスアンジュ、音楽のこと作曲家のことを書きます』

制作が進み色々決めて行くなかで、「クロスアンジュ〜天使と竜の輪舞」の音楽(BGM)を担当する作曲家を誰にするか?と決める時期になりました。

 

キングレコード三嶋(章夫)プロデューサーが数名の作曲家を出してきました。

音楽も聴いてみたのですが、どうもピンと来ません。

本当にわがまま、すみません。

クリエイティブプロデューサーの福田(己津央)さんは佐橋(俊彦)さんの名前を出しました。佐橋さんは、わたしも何度もお願いして組んでいるので素晴らしい曲を書いてくださることは十分理解していますが、今作は新しい方と組んでみたいと考えました。

 

わたしの手前勝手なコンセプトとして、アニメにおいて中堅ベテランではなく、なるべく新人に近い方で可能であれば女性の作曲家さんで挑戦してみたい、でした。

 

そして、民族音楽のジャンルでバトル物を書ける作曲家さんを模索していました。

 

 

当時、201310月に発売のCDアルバムが手元にありました。

マイブームだったので、そのアルバムを車のなかで良く聴いてました。

わたしは、車のなかで音楽を聴くことで色々ひらめいたことがたくさんあります。

 

そのCDは「Turaida」と言うアルバムでした。

なかに入っている「Arcadia」を何度もリピートして聴いていたのです。

その曲はアンジュたちの活躍が想像できる音楽だと勝手に感じていたのです。

他にも印象的な曲がありました。

 

もし、この原稿を読んでいる方で、このCDを持っていたら、是非聴いてみてください。

さらに、「クロスアンジュ~天使と竜の輪舞」の物語と合わせて、聴くとぴったりとハマるとわたしは感じました。

 

同じく2013年にNHK BSプレミアム『幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー』でOP曲とED曲を担当していたので、それも良く耳にしていました。

 

そのアルバムCD&テレビ主題歌を書いていたのが作曲家の志方(あきこ)さんです。
わたしは、キングレコードのプロデューサーに、そっと志方さんの名前を出してみました。

それから、何日か経って、志方さんで行くことが決定しました。

 

正直、わたしは決まるとは思っていなかったので、とても驚きました。

 

でも、志方さんの音楽を聴くと、可能性を感じるのは事実だし、映像に対して新しい音楽が良いコラボレーションを生み出す風を感じました。

 

音響監督の鶴岡(陽太)さんにBGMメニューを書いてもらって、打ち合わせを行い、収録になるのですが、その前に、メインになるメロディを数曲ラフスケッチとして作ったデモ曲が届きました。
それを聴いたとき、頼んで良かったなと思いました。

 

しっかり、クロスアンジュの世界観を表現し、拡張していると思ったのです。

 

ついに、収録の日。

わたしは、数時間ですが収録スタジオに顔を出しました。

挨拶をして志方さんと少しお話をして、本番の収録に入りました。

 

志方さんは、テレビアニメーションのBGMを担当出来ることを大層喜んでいました。

とても、テンションが高いのが見てとれました。

 

スタジオのスピーカーから流れてくる曲を聴きながら、この曲は○話のあのシーンに使えるのかな?と自分の頭のなかで想像していました。

 

アンジュを初めとした頑張る女の子たちのドラマにうまくハマると感じました。

異世界をより深く想像させる民族音楽の加減もとてもバランスが良いと感じました。

 

音楽が楽器が歌っているようなそんなBGMもとても心地良いのです。

ずっといる訳にもいきませんので、途中でお暇しました。

 

別日の収録にも少しだけ顔を出しました。

あの頃の収録は、志方さんが自宅のパソコンとシンセサイザーで作った楽曲を収録スタジオに持ち込んで生演奏を収録し、コーラスなども収録し、そのデータを改めてご自宅に持って帰って、パソコンで色々手を加えていくと言うようなやり方でした。

つまり、出来上がるまで、色々変化していくのです。

 

キングレコードさんから、完パケが届くまで、あの収録からどうなったのか?が分からないのです。

 

「新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA」のBGM収録は収録スタジオに集まった演奏家が生演奏で一斉に収録し、そのあとにトラックダウンしていくので朝には完パケが出来ていました。でも、「舞-HiME」の時期でもすでに作り方が変わっていたことを思い出します。

 

作曲家さんの考え方や進め方、その時期のツールの使い方など、色々変化があります。

わたしは、ある意味の過度期を見ることが出来たのかも知れません。

 

アナログからデジタルへ。

 

フィルム作りもデジタル化でどんどん変わったように、音楽作りも変化をしているように見えます。

 

わたしは音楽の専門家ではないので、分からないことだらけですが、でも、1996年から2014年まで色々見る(聴く)ことが出来たのは幸せでした。

 

話は少し変わるのですが、2021年秋にとある企画のイメージソングとして、またPV用の曲(歌)を作りました。

知り合いの作曲家さんと打ち合わせをして、オールシンセで作曲してもらいました。

 

そして、ボカロの初音ミクの音源を用いて歌ってもらったのです。

出来た曲を聴きながら、修正をしてもらって、ブラッシュアップして完パケしました。

これがリモートで、東京にいるわたしと沖縄にいる作曲家さんの間でやり取りして作ったのですが、いやはや、不思議な感覚でした。

デジタルとインターネットのおかげですが、どこでも作曲&作ることが出来るんだっていうことを認識しました。

 

 

数名の作曲家さんたちの収録時に立ち会って色々お話もしましたが、都度不思議なのは、どうして様々な曲を書けるのか?です。

 

本当に素敵な曲ばかりですが、その曲がどこからどうやって生まれるのか?

頭のなかのどこで考えて作っているのでしょう?

 

作曲家さんばかりでなく、演奏家さんの仕事ぶりは、わたしにとって、何度立ち会っても、何度見ても、疑問ばかりで答えが分かりません。

 

わたしにとって、作曲家さんは超能力者なのですか?と問いたいです。

演奏家さんたちも、五線譜を見て楽器をすぐ弾けるあの姿を見ると、やはり、超能力者ですか?と言いたくなります。

 

 

 

志方さんの書いたアンジュとサラが歌う伝承歌。

「永遠語り」は、2曲が1曲になるような曲で、とても難しかったと思います。

この曲のデモが手元に届いて聴いたときは、わたしの頭のなかでとても世界観が広がっていったのです。

 

水樹(奈々)さんのアンジュと堀江(由衣)さんの演じるサラが重なっていくのは、有りだと思いました。

今更ですが、例えば舞台で「クロスアンジュ」のミュージカルがあるとすれば、この歌を客席で観ていたら、感動、大感動の嵐になると思います。

と、ちょっとだけ妄想してしまいました。

 

毎回、音楽のこと、作曲家のことを書くにあたり、自分の音楽のスキルが全くないことが露見してしまい、ちょっと悲しくなってしまいます。

でも開き直って、聴くことに徹します。

 

良い音楽、歌を聴くと、心の栄養になりますよね。

志方さん、「クロスアンジュ~天使と竜の輪舞」では、心に栄養をくださりありがとうございました。

そして、水樹さんの歌を声を聴くと心が豊かになります。

多謝!

 

 

 

 

◆下記、「告知」となります。わたしが昔関わったタイトルのイベントです!


【祝20周年!あの日の感動をみなさんと一緒に!】

 

「舞-HiME TV放送20周年を記念して『フィルムコンサート』の開催が決定しました!

 

<公演概要>

 

【タイトル】TVアニメ『舞-HiME&『舞-HiME20周年記念 フィルムコンサート

【日時】2025920日(土)

昼の部|12:00開場/13:00開演

夜の部|16:30開場/17:30開演

 

【場所】松戸・森のホール21 大ホール

【チケット】全席指定 10,800円(税込)

 

【出演】

<演奏>

梶浦由記(Piano

Vocal:戸丸華江, KAORI, YURIKO KAIDA, Joelle

MUSICIANFRONT BAND MEMBERS

是永巧一 (Guitar), 佐藤強一 (Drums), 髙橋“Jr.”知治 (Bass), 今野 均 (Violin), 奥泉貴圭 (Cello,赤木りえ (Flute), 中島オバヲ (Percussion), 大平佳男 (Manipulator)

 

<アーティスト>

栗林みな実,美郷あき ほか

 

【関連リンク】

■『 TVアニメ『舞-HiME』&『舞-HiME20周年記念 フィルムコンサート』公演特設ページ 

https://lantis.jp/special/maihime_filmconcert/

 

 

企画 バンダイナムコフィルムワークス/バンダイナムコミュージックライブ

制作 バンダイナムコミュージックライブ/ハートカンパニー

協力 おっどあいくりえいてぃぶ/HIGHWAY STAR

 

 

🔻ふるさとP写真録:今週の一枚 

 

追伸:

YOUTUBE「ふるさとPアニメ道」もスタートしましたので、ぜひぜひチャンネル登録の上、ご覧くださいませ。

🔻リンクはこちら

HTTPS://WWW.YOUTUBE.COM/CHANNEL/UC_JRVVLJSFUHGMXPCVYUQ5A

 

 

古里尚丈(ふるさとなおたけ)

196153日生まれ。青森県出身。

1982年日本アニメーションに制作進行として入社。1985年スタジオ・ジブリ『天空の城ラピュタ』制作進行。1987年サンライズ入社『ミスター味っ子』『勇者シリーズ』等、制作進行・設定制作・制作デスク・APを務め『新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA』からプロデューサー就任。『星方武俠アウトロースター』『GEAR戦士電童』『出撃!マシンロボレスキュー』『舞-HiME』『舞-HiME』他、オリジナルアニメーションを14作企画制作。

20112月企画会社、株式会社おっどあいくりえいてぃぶを設立。『ファイ・ブレイン~神のパズル』や『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』で企画・プロデューサー。『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』企画協力、『グレンダイザーU』制作統括として参加。現在、ゲーム等参加、新企画を準備中。

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