記事: 第70回:『舞-乙HiME、OP主題歌は栗林みな実さん作詞作曲歌、ED主題歌はオーディションでした』
第70回:『舞-乙HiME、OP主題歌は栗林みな実さん作詞作曲歌、ED主題歌はオーディションでした』
今回は「舞-乙HiME」の主題歌のお話です。
「舞-HiME」は1本のオープニング主題歌で走り抜けました。
2025年春に発売した全部入りCD「舞-HiME」のなかでランティスの元社長の井上さんと語りましたが、1クール毎に主題歌を変えて、2曲アプローチすることも多い中、あえてそれはやらず1曲だったんです。
しかし、「舞-乙HiME」では途中で主題歌チェンジをしました。色々な誘惑に負けてしまいました。
前半は、「Dream☆Wing」(1話~15話)です。
「作詞・作曲・ボーカル:栗林みな実 / 編曲:飯塚昌明」。
後半は、「Crystal Energy」(16~25話)となります。
「作詞・作曲・ボーカル:栗林みな実 / 編曲:飯塚昌明」です。
ここでスタッフ名を見て分かるのですが、栗林(みな実)さんが作詞をするのです。
そして、栗林さんは、「舞-乙HiME」では、エルスティンと言うキャラクターを、演じる声優さんでもあるのです。
「舞-乙HiME 」を観てもらえるとわかるのですが、エルスちゃんは謎を背負っており、また中盤で大変なことになるのです
オリジナルアニメである「舞-乙HiME」では、声優さんに先のストーリーを教えないことにしていたのです。
でも、作詞をしてもらうためシナリオや設定、絵コンテなど資料を先に渡すことになります。
つまり、エルスティンの運命を知ることになります。
その運命とは、ニナとアリカのバトルに巻き込まれて死んでしまうことを知る訳です。
最終回まで「舞-乙HiME」ワールドのなか物語を紡げなくなるのです。
それって、めちゃくちゃ寂しいことですよね。
栗林さんはこのことを知った上でアフレコに参加していました。
これって、アニメのなかのエルスティンの気持ちとかなり近いです。
ある日、現場でついにエルスティンが死んでしまうことが分かった日。
次週のアフレコ台本が声優さんに渡り、台本のなかを見て驚くアリカとニナ。
そして、当日栗林さんはニコニコしながらアフレコに臨みます。
あの笑顔のしたにどんな思いがあったのか?
本当になんと言って良いやら。
物語の転換点としてとても重要な話数と出来事てす。やめるわけにいきません。
アフレコが無事に終了し、皆さんが帰って行くときの栗林さんの背中が忘れられません。
わたしは、回想などあるのでまた来てもらいます、と心のなかで思いました。
この思いが後に「舞-乙HiME Zwei」に出てくるシュヴァルツの女の子、リボンちゃん役を栗林さんが演じることになります。
リボンちゃんがアリカたちを見てオトメになるって言うのもストーリー上次世代につながること、さらにエルスティンのような運命に翻弄される女の子を産まないようにしたいと言う流れでもありました。
「舞-乙HiME」のオープニング主題歌は、栗林さんの作詞、作曲、ボーカル、さらにエルスティンの役割を知っている栗林さんだからこそ表現出来る歌詞でありボーカルなのだと思うのです。
ドラマチックであり、「舞-乙HiME」の本質をとらまえた歌が出来たのだと思うのです。
エンディング主題歌は、「乙女はDO MY BESTでしょ?」です。
「ボーカル:菊地美香&小清水亜美 / 作詞:畑亜貴 / 作曲:羽場仁志 / 編曲:大久保薫」の布陣です。
この曲はオーディションでした。
数曲いただいたなかから選びました。
聞いたとき、とても明るくポップでアリカとニナが歌うものとして合っていると思いました。
実はオーディションのデモテープは曲の構成が違っていました。
井上さんに、印象的なイントロを足して欲しいと話しまして、編曲時にイントロが足されて、曲の構成が少し変わっていましたが、オーディションのデモテープを聞いたときに感じた主メロの持つ気持ち良いメロディは変わりませんでした。
オケを聞いたとき、とても良い感じに仕上がっている曲をもらったなと思いました。
そこに、畑(亜貴)さんの作詞が上がり、仮歌を聞きました。
可愛い歌になりました。
さらに、本番として、アリカとニナ、いわゆる「菊地美香&小清水亜美」ぼ歌が入って、本番テープがきました。
このエンディング主題歌は、深夜の放送時にテレビから元気が伝わってきて、観て、聞いているわたしも元気になれると思いました。
アリカ役の美香ちゃんは、戦隊シリーズ「特捜戦隊デカレンジャー」が終わった後に「舞-乙HiME」に参加しました。
「アニー」のミュージカル、「レ・ミゼラブル」のコゼットなどやっています。
ですから、歌があるのは喜んでくれていました。
あの当時、わたしの力ではまだミュージカルアニメは作れませんでしたが、「舞-乙HiME」はほんの少しだけミュージカル風味が、あると思います。
そんなアニメに、ミュージカルを経験している美香ちゃんがオーディションで選ばれたのも必然だったのかな?と思いました。
ちなみに、裏話ですが、エンディング主題歌のオーディション用デモテープをもらったときにランティスの井上さんは、作曲家の羽場仁志さんはアイドルソングをたくさん書いている人で、ジャニーズの歌もたくさん書いてるよ!と教えてくれました。
そうなのです。
たくさんのデモのなか、この曲が良いなぁと思ったのは、王道のアイドルソングに聞こえたのが大きいと思います。
キャッチーで耳に残る、そんなメロディでした。
わたし高校生から、20代前半は松田聖子、小泉今日子、中森明菜が全盛期でした。
そこよりちょっと前中学時代は、キャンディーズやピンク・レディ、山口百恵さんたちの歌が頭のなかを駆け巡ります。古い話でごめんなさい。
そんな時代を経ていますので、やはり王道アイドルソングには色々反応してしまうのです。
本当に元気のもらえる主題歌をありがとうございます。
来る「2025年9月20日土曜日」に【TVアニメ『舞-HiME』&『舞-乙HiME』
20周年記念 フィルムコンサート】が、松戸・森のホール21 大ホールで開催します。
昼の部、開場 12時 開演 13時
夜の部、開場 16時半 開演 17時半、となります。
「舞-HiME」「舞-乙HiME」のBGMを書いた梶浦由記さんが、映像にあわせて自ら演奏もします。
そして、主題歌を栗林みな実さんが歌います。
エンディングに美郷あきさん、菊地美香さんが歌います。
わたしもステージで少しお話ししますので是非ともお会いしましょう!
会場ではみんなで盛り上がりましょう!!

古里尚丈(ふるさとなおたけ)
1961年5月3日生まれ。青森県出身。1982年日本アニメーションに制作進行として入社。1985年スタジオ・ジブリ『天空の城ラピュタ』制作進行。1987年サンライズ入社『ミスター味っ子』『勇者シリーズ』等、制作進行・設定制作・制作デスク・APを務め『新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA』からプロデューサー就任。『星方武俠アウトロースター』『GEAR戦士電童』『出撃!マシンロボレスキュー』『舞-HiME』『舞-乙HiME』他、オリジナルアニメーションを14作企画制作。
2011年2月企画会社、株式会社おっどあいくりえいてぃぶを設立。『ファイ・ブレイン~神のパズル』や『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』で企画・プロデューサー。『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』企画協力、『グレンダイザーU』制作統括として参加。現在、ゲーム等参加、新企画を準備中。
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