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記事: 第79回:『サイバーフォーミュラSIN、佐橋俊彦さんが書くBGMのことについて』

第79回:『サイバーフォーミュラSIN、佐橋俊彦さんが書くBGMのことについて』

前々回でも書いたように、音楽メーカーはエアーズ、音楽プロデューサーは井上(俊次)さんになりました。

 

新しい企画書を持ってエアーズに伺い、井上さんと打ち合わせをしました。

「新世紀GPXサイバーフォーミュラSIN(以降、サイバーSIN))」の内容をプレゼンし、BGM音楽は「新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA(以降、サイバーSAGA)」から引き続き佐橋(俊彦)さんに作曲をお願いすることになりました。

 

早速井上さんが佐橋さんにアプローチし参加してくださることに決定しました。

 

「サイバーSAGA」は、2話数ずつ計3回に分けて音楽収録をしました。

 

では「サイバーSIN」はどう分けて音楽収録をしたのか?です。

5巻なので、2回に分けて音楽の収録スケジュールとなりました。

初回2話数分、第2回目3話数分で収録したような記憶があります。

 

とにかく、第1話と第2話は、絵コンテに合わせてBGM発注のための指示書(メニュー)を藤野(貞義)音響監督に書いてもらいました。

 

3話以降は絵コンテではなく、シナリオからメニューを書いてもらいました。

ただ、第5話は福田(己津央)監督がメニューのたたき台を書いて、それを踏まえて発注メニューを作成した記憶があります。

 

1998年夏頃、作曲家佐橋さん、藤野音響監督、福田監督、井上音楽プロデューサー、古里で「サイバーSIN」の音楽BGM発注の打ち合わせを組みました。

「サイバーSAGA」から続いてなので、細かいお話はなく、福田監督が「サイバーSIN」の内容を踏まえて音楽についての要望を伝えます。

 

今回の主役は、ほぼほぼブリード・加賀になるので、加賀の心情を感じさせるハーモニカとギターサウンドのテーマ曲「哀歌(サントラ内の曲名)」を作ることになりました。一匹狼のアウトローの加賀を彷彿させる大人っぽいクールな曲です

 

合わせて、加賀が乗ることになる凰呀のテーマ曲「凰呀(サントラ内の曲名)」も作ることになりました。

ここで、福田さんの要望として凰呀の曲はブレードランナー風がイメージにあると伝えました。と言うことで凰呀の曲はシンセサイザーであまり感情のないようなイメージの曲が生まれました。

3話から使用しています。

決して悪ではないので、そこは要注意ですが、佐橋さんは不穏、緊張、正確、緻密などが漂うような曲でありつつも、綺麗なメロディを入れてくださいました。

シーンとしてそんな凰呀の走りに加賀がいらだつ訳です。

しかし、徐々に加賀と凰呀の関係が変わってくる、その物語の変化を曲もしっかりとアプローチします。

シンセサイザーの曲に、加賀のテーマのハーモニカとギターサウンドが加わり、音楽でも加賀と凰呀の関係が変わっていくのです。つまり、映像と音楽が物語をより強固にするのです。

アニメのBGMは、主人公たちのドラマをより目立たせたりする効果があることは理解していました。

 

「サイバーSAGA」でレースシーンに使っていた曲をモチーフにした曲を「風(サントラ内曲名)」としました。この曲はハヤトの曲でもありますが、レースやドライバーたちの曲にもなります。この曲は、すでに「サイバーSAGA」から使っているメロディを多用するので、心が踊ります。

 

「闇(サントラ内曲名)」は、名雲さんのジャジーな曲です。

夜の街、暗躍といったちょっと妖しいニュアンスが加わっていますね。

 

あと、「魂(サントラ内曲名)」も加賀の走りのシーンの曲ですが、ギターサウンドで途中、メロディの繰り返しがあり「SAGA」のときの曲を彷彿させます。

 

「サイバーSIN」は、キャラクターのそれぞれの心情に付けるBGMがハマりすぎています。

 

例えば、最終巻の第5話、凰呀の曲がどんどん加賀の曲「哀歌」と交わり、マシンと加賀の関係の変化、そこに、ヒロインたち今日子さんの心配から願いが加わり、ハヤトのBGMとして「サイバーSAGA」からの多用してきたメロが加わるシーンがあります。さらに、女性スキャットも「サイバーSAGA」からの特徴ですが、「サイバーSIN」でもしっかり流れます。

 

5話のレースシーンに流れる曲、サントラでは「魂~凰呀~哀歌~決意」と曲名があるのですが、これは、BGMを収録したときにスピーカー越しに聴いて、燃えたのですが、第5話のダビングでも心が燃えました。

 

佐橋さんは、「サイバーSAGA」以上に映画的な音楽の展開を考えて作っているように見えました。作ったメロディを少しずつアレンジして必要なシーンに使うのです。良いメロディは何度も使わないと勿体ないでしょ?と言っていたと思います。

確かに、と、思ったわたしがいます。

 

5話のレースシーンラストの辺りで、凰呀のコクピット、モニター内のゲージが上がって「チェッカー」と言う声が聞こえます。

これは、天野(由梨)さんが声を担当しました。天野さんは、葵今日子さんの声を演っているので、今日子さんの声が聞こえたのか?あるいは、凰呀の声なのか?これは、どっちなんでしょう?

わたしは、どっちもありだと勝手に思っています。

 

2話の凰呀は、とにかくじゃじゃ馬で加賀のドライビングテクニックがあっても御しがたいのが、紆余曲折あって、相棒になった、と考えると、基本喋らないマシンではあっても、声が聞こえるのは面白いです。「サイバーSIN」の物語の真骨頂かなと思っています。

 

そして、名雲の「兄さん」の独り言。さらに、空港の加賀に電話で「おめでとう」、「加賀くんありがとう」と言う名雲さん。ここでも、ひとつの決着がついたんだろうと思うので、お洒落なシーンになっていてここも好きです。

 

この原稿も「サイバーSIN」のDVDを見ながら書いています。

見入ってしまい、原稿を書く手が止まります。

何度も見ているのに、やはり良いなって思います。

 

ブリード・加賀のドラマとして、ハヤトと真っ向勝負としてみたい、だが、どこかで躊躇している自分がおり、そこに敵?に塩を贈るかたちで名雲がマシン「凰呀」を持ってくる。

名雲も、兄の作ったマシンの実証みたいなある種の決着をつけるための行為です。

ハヤトにアスラーダがあるように、加賀にも凰呀が加わることで、ここで一旦スタート地点に立てるようになりますが、加賀と凰呀の間に「相棒」の関係がないのです。

 

人と機械の関係について、感情とか関係ないだろうと言うと、その通りだと思います。

でも、不思議とあるかも?と思いたいんですよね。

わたしは、ロボットアニメも大好きだし、作ってきた時間もあるので、ロボットに対して夢と希望があり過ぎかも知れません。

でも、思考する機械は、状況によっては、人間とどこが違うのか?と考えることもあります。

 

わたしが乗っている車は軽自動車です。

ホンダの「N-ONE」と言う丸目のライトで、少しレトロなデザインの車です。

軽自動車ですが、ターボを積んでいますので、それなりに走ります。

すでに10年以上乗っているので、勝手に相棒だと思っています。

車は喋ってくれませんが、たまに話しかけてしまいます。

 

大昔わたしが20代前半のとき、1970年代に発売した車をスタジオの社長さんが買ってきまして、「これ中古車だけど、懐かしかったので買ったので、進行の車」と言って「乗りなさい」と言うのです。

ホンダの360CC軽自動車で「ホンダZ」に乗っていました。

これが、また、小さくてでもキビキビ走る面白い車でした。

と言うこともあって、レトロな車は大好きなのです。

 

車好きにとって、自然に車に話しかけてしまうのは、あるあるだと思っています。

 

アスラーダは、いやアスラーダヘッドは、いまで言う「OK Google」や「Hey Siri」の原型ですね。

 

毎回書いてしまうのですが、アスラーダヘッドが欲しいです。

当時、「アスラーダ、会社まで連れて行って」とか言って、あとは寝てるだけと言うのが夢でした。

 

でも、ぼちぼち自動運転も普及するかも知れませんし、時代がやってきています。

あ、でも、自分がハンドルを握ってドライブするのは好きです。

ただ、眠いときは頼みたくなるんです。

 

特に、「サイバーSIN」の制作時期は、夜遅くまで仕事をして、朝はそれなりの時間に会社に行っていましたので、いつも眠かったのはありましたね。

絶対に事故は起こしてはいけないので、それをカバーしてくれるのであればマシン、コンピュータにも頼るのは問題なし、と、思うわたしです。

 

アニメ映像を補足も強化もするBGM音楽、作曲家の佐橋さんの書いてくる音楽に圧倒されていました。当時、スタジオ収録が楽しみでした。

 

いつだったか?忘れていますが、佐橋さんとの仕事で収録スタジオでトラックダウンをしていたときに、となりの部屋に菅野よう子(ビ・バップなどの作曲家)さんがいまして、佐橋さんが「菅野ちゃん、久しぶり」と言ってるのが、何だか微笑ましいなって思ったことがあります。

 

別日に、作曲家の和田薫さん(アイアンリーガー、犬夜叉)がとある収録スタジオにおりました。このときも「揃うな~、凄いな~」と感心したことがあります。

新番組に向けて作ることになるので、どうしても時期が重なることになるのです。

 

佐橋俊彦さん、「サイバーSAGA&SIN」の作曲、ありがとうございました。

本当に、佐橋さんと組んでお仕事出来、また27年経ったいまでも、映像を見直して音楽を聞いて感動しています。

  

古里尚丈(ふるさとなおたけ)

196153日生まれ。青森県出身。1982年日本アニメーションに制作進行として入社。1985年スタジオ・ジブリ『天空の城ラピュタ』制作進行。1987年サンライズ入社『ミスター味っ子』『勇者シリーズ』等、制作進行・設定制作・制作デスク・APを務め『新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA』からプロデューサー就任。『星方武俠アウトロースター』『GEAR戦士電童』『出撃!マシンロボレスキュー』『舞-HiME』『舞-HiME』他、オリジナルアニメーションを14作企画制作。

20112月企画会社、株式会社おっどあいくりえいてぃぶを設立。『ファイ・ブレイン~神のパズル』や『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』で企画・プロデューサー。『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』企画協力、『グレンダイザーU』制作統括として参加。現在、ゲーム等参加、新企画を準備中。

 

 

 

 

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